第29話 ネタバレ
「・・・好き・・・だから?私を?セレニアじゃなくて?」
「?どうしてここでセレニアが出てくるんだ?・・・・・・いつか僕を信じられるようになったら何か困ったことに直面しても今みたいに不安になることはないだろう。こんな哀れな姿で言っても信用できないだろうけど・・・」
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「・・・あんなふうにご迷惑をおかけするつもりはなかったんですが、ロマンチックに告白するはずの瞬間に僕のせいでびしょ濡れになってしまって・・・」
マーシャルが言うとビクトール補佐官は
「公子様はまだご存知ないようですね。昔から水も滴るイイ男って言うじゃありませんか!」
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「さあそろそろ僕たちも招待客のところに行くとしよう。まずは服を着替えないといけないが、この姿じゃああまりにも哀れだからな」
「・・・哀れじゃありません。そっそれなりに・・・なかなか」
「・・・!」
「素敵ですよ」
「バレリー・・・」
「あまりにも落ち込んでるから慰めようと思って言っただけです。格式のある席ですからもちろん着替えないといけませんけど!!」
「ありがとう。もっと素敵になって来るから」
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【バレリーside】
そうしてなんやかんやで婚約式は賑やかにそして無事に終わったが部屋に戻って来たバレリーは想像もできなかった真実にショックを受けて眠れなかった。
『きっとなれますよ可愛い子供たちのパパに』
『この私が精一杯頑張ってみます!!』
押し寄せる黒歴史にバレリーは枕をバンバン叩いていた。
(なんであんなこと言っちゃったんだろう!?どうかしてるわ!!)
「そのうえ・・・」
(一体私はあの人に何てことを言ってしまったんだろう?)
『あなたの気持ちを仰ってください』
『私は公爵様の味方ですから!』
「・・・最悪だどうしてあんなことを・・・?何も考えずにあんな純粋な人に・・・」
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【バレリーside】
その夜見た夢は言うまでもなく悪夢だった。まったく呆れたと言うように私を見下ろす先生と幼い頃の私
「死んだらダメ!権力ある公爵家の女主人の座を手に入れようとか、みんな愛されるシンデレラになりたいとか叶えられもしない夢を見なきゃいいだけでしょ?それがそんなに難しい?」と幼いバレリーが言う。
「それは・・・いったい何の話?私だって公爵と結婚するつもりなんてこれっぽっちもない・・・先生?」
「・・・結局こうなるのか。これからお前に何か起こりそうだな」
ゾクッ
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【ドウェロ公爵を慕う令嬢たちの集まり】
「えぇぇ??ドウェロ公爵様が昨日の婚約式で・・・お色直しで礼服を二着もお召しになったですって?その姿をこの目で見たかったのに!!やっぱりマーシャルじゃなくて私が行くべきだった!」
「重要なのはそこじゃないと思いますけど?」
「婚約式に参席した私が見たところ・・・エディスさんのお姉様は恐ろしいほどすごい方ですね」
「え?」
「婚約式の主役が二人一緒に姿を消したと思ったらしばらくして服を着替えて登場するなんて・・・セレニアと恋人関係にあった公爵のハートをどうやって射止めたのか目に浮かぶようですわ」
「・・・それは私のお姉様を侮辱しているのかしら?」
「とんでもない私はあなたのお姉様を尊敬してるんですよ。だから心配になるんです。昨日婚約式が終わってからバレリー・レア・ボルシェイク令嬢がみんなから何て呼ばれるようになったかご存知?
『虎穴に飛び込んだ令嬢』ドウェロ公爵だけでは物足りず皇太子の心までモノにしたんですってね。公爵とボルシェイク令嬢が一緒に席を外してる間に元老院と皇太子が話すのを聞いたんですのよ」
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【約24時間前ドウェロ公爵の婚約式】
第29話 感想
バレリーがいない時に皇太子がなにかやらかしてしまった感じの終わりですね・・・