第51話 ネタバレ
(つまり・・・いくら頑張っても原作通りの展開になっちゃうってこと?)
「姫様?」
(エウレディアン・ベルゴットは拒めないはず)
「どうしようあの女・・・完全に狂ってる」
(エウレディアンは皇帝だから・・・魔塔を掌握しているあの女を退けられるわけがない!)
「わたしがここにいたってことは・・・陛下には内緒にしてください」
エレニカはそう伝えると部屋まで走り出した。
******
「!」
「姫様?」
「姫様!大丈夫ですか!?」
「何かあったのですか!?」
部屋の前にいたメイドたちが浮かない顔のエレニカを心配して声をかける。しかし、エレニカは無言で部屋の中へ逃げた。
ラウルス様『言っただろ?この私ですらどうすることもできないことがあると・・・』
「そうみたいですね」
(本当に変えられるものが何もないのかな?そうだ・・・この世界の絶対者も原作によって設定された存在だろうし、わたしのような脇役の力で原作の流れを変えられるわけがないんだ。
わたしが介入したことできっと何かは変わったはずだけど結論は同じ・・・まさか帝国全体とわたしで取り引きするなんて・・・
結婚を阻止して済む問題じゃなくてあの女と対決しなきゃいけないの!?)
「信じらんない!!」
エレニカの大きな叫びに扉の外にいたメイドたちやラウルス様が驚く。
『ビックリした!』
「わたし・・・これからどうすればいいんですか?」
『ふむ・・・』
(全然レベルが合わないし!)
『とりあえず・・・神殿に来るのはどうだ?』
「神殿?」
『そうだ。そこにいたってあの女のエサになるだけだからな』
(まったくその通りで否定できない)
「くそぉ・・・」
『作戦上の後退ということで』
(そんなに呑気なこと言ってる場合か!・・・そうだ二人の話を聞いてしまった瞬間から・・・)
(わたしの結論は決まっていた。これ以上迷惑になるわけにはいかないから)
******
(やっぱりまだ夜は眠れない・・・外の空気にでも当たって来ようかな?)
エレニカがベッドから起き上がりテラスの方に出た。
「そこまで寒くはないかも・・・」
(真っ暗だ。暗い・・・夜!)
「あーもー!」
(暗黒の魔法も解決したのに夜になるとあの時の記憶が・・・体調が悪いから精神的にも病んじゃってるのかな?)
「邪悪なお化けは消えてしまえ・・・!邪悪なお化けは今すぐ消えて」
「姫?」
「ギャアア!ななな何!?あ・・・」
なんと隣のテラスにエウレディアンがいた。
「まさか本当にお化け・・・?」
「お化けだと?」
「陛下・・・ですか?」
「真夜中に寝ないで何をしている?」
「え・・・えっと眠れなくて・・・陛下こそ・・・そんな時間に何してるんですか?」
「さあ・・・私も眠れなかったと言っておくか」
(昼にあんなことがあったから・・・)
「まあ・・・しょうがないですよね」
「・・・・・・?」
(わたしもこんなに戸惑っているのに当事者なら尚更・・・)
「姫はなぜ眠れないのだ?」
「うーん・・・ちょっと精神的に病んじゃって・・・」
「今日は大丈夫だと言わないんだな」
「大丈夫なら大丈夫・・・大丈夫じゃなかったら大丈夫じゃないってちゃんと正直に言うタイプなんで!」
「そうか・・・姫・・・3歩後ろに下がりなさい」
「え?」
「早く」
「・・・・・・?・・・・・・・!ちょ・・・ちょっと!」
エレニカが後ろに下がるとエウレディアンは隣のテラスから飛び越えてエレニカの元まで来てくれた。
「今日はなぜ大丈夫じゃないのか聞かせてくれないか?」
第51話 感想
51話の最後のシーンがかなりかっこよかったです。絶対人間じゃないだろっていいたくなる美しさでしたwww