第45話 ネタバレ
【アースside】
「アーステロぺ様、この前お話したボブーン男爵について報告がございます」
「なんだ?」
「招待状を手に入れました」
「招待状?」
「はい、参加されてみてはいかがですか?以前から関心をお持ちでしたよね?」
「興味はあるが・・・その招待状はどうやって手に入れたんだよ?」
「これは僕の従兄弟からもらいました。あまり評判のいい奴ではないのですが今回集まりに招待されたそうで」
「誰でも参加できるものではないだろ?」
「男爵の事業があれほど成功するなんて誰かが裏で投資しているに違いない・・・貴族派でなければこっちにつけたいな・・・」
「一度参加されてはどうですか?このチャンスを逃されてはもったいないですよ」
「そうだな。この仕事も近いうちに終わる予定だし首都に戻ったら行ってみよう」
「アース様を追放した貴族にまつわる報告もございます。公爵家が価格の値下げについて陛下に申し立てているらしく陛下からいますぐ戻ってこいとの伝言がありました」
「皇太子を教育させようとこの場所に追放したくせに値下げに応じないと呼び戻すのか勝手な奴らだ」
「そろそろ価格を下げられたほうがよろしいかと」
「破産したのは何人だ?」
「15名ほどです」
「じゃあ税関で止めていた分は通してくれ。誰かは特定できていないが以前砂糖を高く売る者が現れた。その影響で価格が高騰し今では手にいれるのが難しくなった・・・突然価格を値下げしたら高値で売っていた貴族派が困るだろう」
「ですが現在かなり高値で売られていますからね。では続いてビゲー子爵について報告いたします。
カジノを利用していくつもの問題を起こしているようです不正操作に賭け金の制限もなくしているみたいですね。いくら公女が支援していてもさすがにこれはマズいでしょう」
「公女は知らないはずだ。弱みを握られるようなことは絶対にしない人だからな。いつも法に触れない程度に抑えている」
(おかげでいろいろ大変だった・・・)
「やはりアリアお嬢様の意見は素晴らしいですね」
「?」
「カジノの売却について提案されたのはお嬢様でした。あの時売却していなかったら今頃どうなっていたことか・・・」
「そうだな」
(お嬢様の話題になるといつも嬉しそう・・・)
「気分転換にお嬢様のところにご挨拶に行かれますか?」
「え?」
「いつものアース様の得意技を披露されてはいかがですか?」
「もう忘れたのか?あとが大変だろ・・・首都に戻ったら会いに行こう」
(やっぱり会いたいんだ・・・)
「それまで僕も頑張ります!」
「ん?今まで頑張っていなかったのか?」
「いいや違います!!」
「最近肌の調子がよさそうだな?」
「そんなことありません!!こんな場所にニキビが!!仕事頑張りすぎたかな~?それでは仕事に戻ります!」
(首都に戻ったら・・・)
「はやく終わらせて戻ろう」
******
ビンセント侯爵の事務所に手紙が届いた。
相場の半分以下で売ること ピノヌア
(ピノヌアって・・・皇太子のサインが書かれてるぞ・・・)
******
【ビンセント侯爵の回想】
「君に頼みたいことがある」とアースが言う。
「どうして僕に・・・?」
「それは君が貴族派ではないからだよ」
(こんな場所に呼ばれて怪しいとは思っていたが・・・)
「僕は派閥争いに関わりたくありません」
「それでも君は承諾するはずだ君は貴族派をよく思っていないからね」
「うぅ・・・」
「君の好きなようにしてくれ頼んだよ」
(事あるごとに命令してくるくせに・・・わかってはいたけど・・・)
******
(以前から貴族派が貿易を独占していた。破産した人は大勢いるだろう・・・高額を支払って買いだめしているであろう。僕が価格を値下げしたら破産する会社は一層増える・・・)
ビンセント侯爵は【言われた通り履行いたしました】と手紙を書く。
「管理人に渡してくれ。皇太子・・・以前とは別人のようだ。正確にはカジノを手にしてから・・・容赦なく貴族派を責めている。それも平民には被害が一切及ばない方法で・・・」
(今後どう動くのだろうか?皇太子アーステロぺ・・・)
******
【アリアside】
「お嬢様はご存知ですか?」
「なに?カジノのこと?」
「そうです!不正が何度も繰り返されたらしく今回も皇太子殿下がすべて責任を負われたそうです!
人身売買は今回なかったそうですが脱税に不正操作その他諸々!やっぱりカジノって怖いですね!」
(そういえば前回の集まりで話していたけれど・・・カジノを買収したビゲー子爵は皇太子の仕掛けた罠にハメられたってことね。
話の流れ的に間違いなさそうだわ。これは砂時計の影響もあるのかしら?貴族派の勢力が落ちれば公女との結婚はなくなるかも?)
「それでよかったのよ」
「えっ?いいんですか?ビゲー子爵は貴族派ですよ!カジノ買収の際に手を貸した貴族派の人たちも捕まりました。伯爵だって毎日不安なのではないでしょうか!」
(私には関係ないけど・・・伯爵家が潰れたら公女がミエールに近づく理由もなくなる)
「それこそロースチェント家の危機です!」
(貴族派の勢力が弱まればロースチェント家門を潰せる・・・?)
アリアはミエールが路頭に迷う姿を妄想して喜んだ。
「そうねお父様は心配よね大丈夫かしら?」
「本当に思ってますか?」
「でも一番心配なのはあなたよベリー、いつになれば私は美味しいお茶が飲めるのかしら?」
「大変・・・失礼いたしました・・・」
「どうやって伯爵家に雇用してもらえたの?」
アニーがバカにするとベリーは睨む。
「まさか逆ギレなんかしてないわよね?そんなの許されるわけないじゃない!」
反抗的なベリーの手を叩いた。
「違います・・・」
ガッシャーン
アリアがティーカップを床に落とした。
(高級なティーカップが・・・)
(お嬢様・・・)
「片付けたら新しいお茶を5分以内に用意して」
アリアの言葉にベリーは慌てて破片を回収して部屋を出て行く。
「もうすぐ夕食のお時間ですがお茶を飲まれるのですか?」
「もうそんな時間だったのね。お茶はベリーに飲んでもらうわ」
(あなた達は私を悪女だと思うでしょう。私が過去にあの女からやられたことを考えればこんなの可愛いものよ)
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「これを全部・・・ですか?」
「そうよ。私が夕食をとってる間に廊下も掃除してちょうだい」
ベリーに掃除を頼みアリア達は夕食に行ってしまった。
「何様のつもり?絶対に許さない・・・」
(さっさと本性を現しなさいベリー
過去の思い出は一生忘れないわ。あなたを一番はじめに懲らしめてあげる)
第45話 感想
ベリー絶対に何かやらかしそうな雰囲気でした。