第47話 ネタバレ
(外に出るのは危険だから部屋でできること・・・ルボブニに手紙でも書こうかな?)
「スザンヌ!ペンと紙を持ってきてくれますか?」
「宜しければ私が代筆いたします!」
(別に指を怪我したんじゃないんだから・・・)
エレニカは小さな植木鉢を持ち(これをダンベル代わりにして筋トレでもしようかな?)と考えた。
すると
「姫様!危ないので私たちにお任せください!」
なら腕立て伏せをしようとしたエレニカに
「ひ・・・姫様!額に汗が!!一体何をされているのですか!?」
「まだお身体が完全に回復していないので過度な運動は禁物です!」と止められてしまった。
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『姫様ダメです!』
『いけません姫様!!』
(お願いだから姫様って呼ばないでぇ!ノイローゼになりそう・・・)
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「何もしないで・・・大人しくしときます」
(おしゃべり相手でもいたら退屈しないんだけどなぁ~)
数日前
「陛下!わたしの専属メイドはベルック宮殿から連れて来ちゃダメですか?あっ・・・今のメイドが気にいらないわけじゃなくて慣れてるメイドの方が色々と楽かなと思って・・・
ベルック宮殿に暗黒の魔法士がいないってことも確認したし・・・」
「駄目だ。彼女たちは姫の身の安全を守る義務を怠った。よって姫の世話を任せるわけにはいかない。皇城から追い出さないだけでも情状酌量のつもりだから姫も理解してほしい」と話していた。
(一度線を越えたらやっぱり容赦ないな)
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『・・・私が姫を守ってあげられると思っていたのだがそうではなかったようだ』と陛下が抱きしめてきた時のことを思い出す。
高鳴る心
エレニカは扉の前で座ったまま真っ赤になる。
(あーもーまた始まった!これじゃ完全に重症だよ!!)
(思い出しただけでこんなにドキドキしちゃうなんて・・・)
マリアンヌはこっちに来れないし、ディエリゴはベルック宮殿の庭園の件で忙しいし
(お父様は・・・全然会いに来てくれない・・・あれ?自分から避けてるくせに何言ってるのよ!しっかりしなさいっ!
呆れるくらい時間通りに動く男だからいつ時間が空くか見当はつくんだけど・・・)
『出ないのか?』と神様が尋ねてきた。
(このまま幼虫みたいに過ごしてルボブニに強制送還されるよりはとりあえず外に出てみた方がいいかも)
「出ます」
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エレニカが部屋を出るとたくさんのメイド達を引き連れることとなった。
(もう何日もこの調子ではあるけど・・・)
(やっぱり慣れない!!この前メイドたちを脅して宮殿から抜け出したから!?まさかお父様の指示・・・?)
歩いていると下の階でエウレディアンを見つけた。
「陛下!」
「姫、こうやって顔を見るのは久しぶりだな」
「そ・・・そうですか?」
「ここ数日間私を避けていたようだが?」
「ち・・・違います!避けるわけないじゃないですか陛下が忙しかっただけですよ!」
「さあ・・・廊下で私を見かけては急いで部屋に走っていくのを何度も見たのだが」
(み・・・見られてたの!?だって・・・お父様を見たら胸がドキドキしちゃうんだもん!——って言うわけにもいかないし・・・)
「ええ?見間違いじゃないですか?」
「そういうことにしておこう。昼食は?」
「た・・・食べました!」
「お茶は?」
「お茶は・・・」
(・・・なんか悔しい・・・!わたしを変な気持ちにさせといて自分は全然平気ってこと?だったらわたしも全然平気になってやる!)
「まだだと言ったらアフタヌーンティーに招待してくれますか?」と笑顔で尋ねると、陛下が一瞬ビクッと立ち止まった。
「・・・・・・いいだろう」
「え?」
「お茶にしよう」と優しく微笑みながら誘ってきた。
(やっぱり・・・なんか悔しい!)
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「ここでお仕事されてるんですね」
「ここは初めてか?」
「はい寝室に入ったことはあるけど・・・」
(ん?今のはどうも響きが・・・いや・・・変に意識するのは止めよう)
「そもそもこの宮殿はまだ初めての場所が多いので・・・」
エレニカの言葉に陛下は少し考え
「そういえばそうだな」とふっと笑いこたえる。
「なのになぜ・・・この宮殿を占領されてしまったような気がするのか不思議だな」
皇城の庭園を見ながら陛下は言う。
「え?」
「いやなんでもない」
第47話 感想
エウレディアンを避けていたエレニカでしたがやっと姿を見せたようですね。それにしても、陛下からお茶に誘ってくれるとは・・・