第21話 ネタバレ
「陛下!」
「・・・・・・大したことない」
「何を仰るのですか。そんなに痛みを感じるほどだなんて・・・!」
ユーストは頭痛に苦しむユリアを心配する。
「本当に大丈夫だ。それにせっかく準備して出てきたのにまた戻りたくはない」
「・・・陛下!」
「代わりについてこい。もう一人で行くと意地を張ったりしないから」
ユリアの言葉にユーストが眉を寄せ、ため息をつく。
******
ユリアたちが街に着き歩いていると街中の視線を集めた。
ユーストのイケメン顔を見て「はぁ・・・」とため息をつくユリア。
(こうなるとわかっていればこっそり一人で来てもよかったんじゃ・・・?)
******
【ユリア回想】
「フードは取ったほうがよさそうだ。被った方が逆に目立つ」とユリアが言う。
「はい。陛下もしかすると街が少し騒がしいかもしれません」
「祭りの最中だしな。仕方あるまい」
「祭りが終わったらすぐ社交パーティーのシーズンに入ってより騒がしくなるだろうし・・・それくらい私も知っている」
侍女の話によればシーズンでは皇帝の動向や機嫌を伺い今後どうすれば自分に損がないかまたは利益を得ることができるか探る者が集まると言っていた。
商店街が活発になり情報共有が頻繁に行われ外部の人間が多くても変に見られることもない
(彼らにとってイースターが都合のいい口実なのは間違いないはず)
******
(話しの通りね。貴族に見える者や旅行客に見える者ここで暮らしている人までいろんな人がいるわ)
(ん?美味しそう)
ユリアが出店のパンに手を伸ばすとユーストがそれを遮った。
「私が先に確認しましょう」
「普通に買って食べるパンなんだが・・・」
「万が一のこともあります。私がいる時だけは確認させてください」
「わかった」
「お二人は騎士なのか?」と店主は尋ねてきた。
店主をユーストがギロッと睨む。
「い・・・いや悪気があって聞いたわけじゃない。わしも若い頃は騎士だったから君たちの先輩になるんだ!」
「どうされましたか」とユリアが笑顔で尋ねる。
「祭りだから街の一番の酒屋やレストランで酒や食べ物を出してもらったんだが」
「はい」
「これらを賭けて5時まで勝ち残った者にあげると決めたんだ。正直言って祭りでもあるから誰が勝っても楽しむ気持ちで出し合ったんだが・・・」
「はい」
「あの者たちが持っていきそうでな」
ユリアたちが見てみるとそこにはガラの悪い男達がのさばっていた。
「まぁルール違反はしてないが昼にも何箇所かの店に喧嘩を売った輩でどうも気が進まなくてね。
すぐに警備隊が駆けつけてくれて解決できたがそれでも納得いかないんだ。せっかくの祭りなんだしみんなが楽しんだ方がいいだろう?」
(この老人の言う通りよ。祭りは楽しむためにあるのに。素手での勝負だから剣気が出ないように気をつけないと・・・)
「私がやります」とユーストが言う。
「ん?」
「目立ちたくないのでしょ?」
ユーストがスタスタと男達のもとに行ってしまった。
「・・・・・・」
「恋人かね?」と店主が尋ねる。
「まさか、ただの仲間です」
「すまない・・・」
******
「・・・・・・見かけない顔だな」
ガラの悪い男は目の前に現れたユーストに言う。
「警備隊か何かか?イライラしていたからちょうどいい警備隊の連中は付き合いが悪くてよ」
「・・・・・・」
ユーストが無言でかかってこいと手で合図をおくると「生意気な!」とガラの悪い男がきれた。
「ちょろそうですね」「兄貴の実力見せてくださいよ!」
男とつるんでいた下っ端供が煽る。
「負けても泣き言言うんじゃねぇぞ!」
「・・・・・・」
男がかかって来るがユーストがそれをかわし首に手刀を入れ転ばせた。
「騎士様頑張って!」「いいぞ!黒髪の旦那!」
街人たちはユーストを応援する。
「この・・・クソが・・・!」
男が立ち上がり向かってきた。
(時間がないな。陛下が望みである以上・・・確実に遂行せねばならん)
ユーストが男のみぞおちを突き倒すと丁度鐘が鳴った。
「今年の祭りの勝者はあの黒髪の旦那だな!」
第21話 感想
街のお祭りでガラの悪い男を倒しましたが、逆恨みでおそってきそうな気もしますね。もちろん返り討ちにしそうですが・・・