第10話 ネタバレ
「他に理由があると言いたいのか?返事がないということは私が信用できないということだな?」ユリアが尋ねる。
「・・・・・・」
(なぜ・・・今更・・・)
2年前までユーストはユリアの笑顔が好きだった。自身に満ちた発言をする姿に忠誠と彼の想いを全て捧げた。しかし今は苦しかった。そして『信じられなかった』高潔だったユリアはもういないと認めたのが3日前のことだったというのに。
たった数日で変わるわけがない。またユリアの気まぐれに振り回されたくなかった
「陛下ベヌース伯爵がいらっしゃいました」
「!」
「私はこれで失礼致します」
来客の知らせがあり、ユーストは執務室を去ることにした。
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(もう疲れた・・・部屋を出る直前まで疑ってる顔だったよね・・・事情があるとはいえユーストには申し訳ないわ。だけど私だって相手するのは大変だったのよ?
追い出すことはできないし・・・だからって心を許すこともできない・・・もうへとへとだわ・・・)
ガチャ
「・・・?休憩の邪魔をしましたか?」
「!」
ベヌース伯爵はユリアが執務机に頭を伏せていたので尋ねた。
「・・・来たか」
「侍女から話が伝わってなかったようですね」
「いやちゃんと伝わってるぞ」
「マルカス公爵が原因ですか」
「お前はわざとそうしてるのか?」
「はい」
(私にもう殺されない自身があるからあんな態度をとってるわけ?ここは耐えるのよ・・・)
「・・・無事に出られたようで何よりだ」
「陛下の迅速な対応があったお陰でしょう。もうすぐですからね」
「それで例の件はすぐにできそうか?」
「はい」
「フェーズ公爵が内政を担ってから行った全ての不正をまとめました」と報告書を渡す。
「ふむ・・・」
(これは・・・!!年度と業績が見やすくしかも詳しくまとめられてある・・・!一日中フェーズ公爵の文章ばかり見て疲れきっていたがこの文章は素晴らしい!
それにしても色々とやってくれたわね。最初は規模が小さいけどどんどん大胆になっていってる。特に去年なんかは予算の半分も自分の懐に入れてるわ。
こんなに予算を横領できたのは・・・監視する人にも握らせてやったってことになるけど・・・炙り出す貴族はいったい何人いるのかしら)
ユリアが考えているとベヌース伯爵は追加で資料を渡してきた。
(完全にやる気ね。腐敗した貴族を一掃するんだという強い意志を感じるわ。それにしても処理する書類が追加されたということは・・・徹夜確定ね・・・)
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(・・・・・・今日が最後の日。今日のうちに何か結果を出さないと明日反逆が起きる)
だから昨日は徹夜で発表用の資料を作り貴族たちには城に来るように命令した。
(失敗すれば明日はない!ここまで思ったより上手くいったけど・・・フェーズ公爵の動きにはどこか釈然としないところがあったわ。あっさり信じるとは思ってなかったけど・・・)
フェリックスが監視した結果によると彼は疑うことなく休暇を満喫していたそうだ。彼が驚いたのは急に城への収集命令が下された時だった。
(つまり今日はフェーズ公爵が何か準備して来る可能性が高いことになる)
(出勤したくな・・・いや・・・会議に出たくない・・・)
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「皇帝陛下に敬礼!」
「挨拶はいい私が到着したとみんなに知らせろ」
「はい」
「皇帝陛下がお着きになりました!」
第10話 感想
反逆が起きるのか気になるところですが、フェーズ公爵もなにか休暇中にバレないように何か計画を企てていたのかな?