第7話 ネタバレ
現在の帝国の勢力は3つある。腐敗した貴族の代表フェーズ公爵。堕落した暴君皇帝ユリア。それからユースト中心とした反逆勢力。ユーストの率いる反逆勢力はそもそも権力を貪るための集団ではなかった。
皇帝ユリアの腐敗と横暴それを煽り立てるフェーズ公爵。この二人の野蛮な行為に耐えきれず立ち上がった集団であった。しかしユリアがフェーズ公爵を誹斥したら?とりあえずかなり喜ぶだろう。
だけどなぜユリアが態度を変えたのか疑問を持つだろうし、あからさまに争い始めたら反逆勢力からはとりあえず様子を見ようと意見が出るはず。それにベヌース伯爵がブレーキをかけたら分裂が生じる。
(その分裂に入り込むことが私の目的。だから彼には明らかな敵意を向けても問題ない)
「幽閉塔に送ったつもりはなかったがお前は知っていたのか?」とフェーズ公爵にユリアが尋ねた。
「ま・・・まさか~この私が陛下の命令に背くなんて・・・」
「ではどういうことだ?」
「その方が陛下のためだと判断しました。陛下に無礼を働いた者たちを・・・お傍に置くなんて言語道断」
(よく言うわね。一番迷惑なのはあんたの存在よ)
彼は背後で皇帝を軽んじていたがユリアの前ではいつもへりくだっていた。本来富を持つ人間ほど自分の命が惜しいものである。皇帝の前で尻尾を振っていれば命も保証され自分の欲しいものが得られることもよく知っていた。
彼は自身があったはずだ。酒と薬、美しい男これらを全て権力のために皇帝に投資したのだ。
(『陛下のためにここまで尽くしたのだから私のいうことならなんでも聞いて下さるだろう』と思っていたはずだから戸惑ってるでしょうね。
部長に似た顔と喋り方、何一つ気に入らないわ。でもこの二人には違いもある)
「お前は今までそんなやり方で仕事を処理していたのか?」
(ここでは私があいつの上司ということよ!)
「・・・え?」
「私が下した命令を『正確に』遂行せず勝手な解釈で進めたのかと聞いているんだ」
「へ・・・陛下それは・・・!」
「一を聞いて十を知るというが私の側近を処刑台へ送ろうとしたのだから他のことは見なくともわかりそうだな」
「とんでもありません!なぜ私の忠誠を疑うのですか!?今まで陛下にどれほど尽くしてきたか」
「嘘を申す者ほど口数が多いものだ」
「陛下・・・!」
(いざ相手をすると緊張するわね。幸い剣気も問題なく纏うことができて塔を登る時もまったく疲れなかったし凍っていた扉も簡単に開けれたわ。ということは私は実際ユリアと同等の力を持っている。
つまり今の私に力で対抗できるのはユースト以外にいないという確信ができた。怯える必要はないわ)
「お前が本当に忠誠を持って私を補佐したのであれば今まで処理した仕事を隅々まで確認しても問題ないだろうな」
「そ・・・それは」
(ふふ・・・言われてきたことをそっくりそのままお返ししてあげる。いくら徹底的に準備したところで『隅々まで調べ一つでも間違いが出れば』と言われたら不安にあるのは当然よね。しかも後ろめたいことがあればなおさらでしょ)
「フェーズ公爵、今日はゆっくり休みたまえ」
ユリアはオロオロするフェーズ公爵に言う。
(一刻も早くあいつを追い出して執務室を調べなきゃ)
「私もそろそろ・・・仕事をせねばならない。もう出ていってもらおうか」
「え!?へ・・・陛下!そのようなことをなさる必要は・・・ございま・・・」
「無礼だぞ。私の権威に歯向かうつもりか!ならばこの場で受けて立とう!私はここから逃げはしない!」
第7話 感想
嫌な元上司の顔に似てるのがまさかの敵役ですね。容赦なく戦えそうな感じでした。