第33話 ネタバレ
アリアが侍女たちに家族のことを尋ねる。
アニーは「私はお兄ちゃんがいます23歳で広場近くの旅館で働いています」と話していた。
「旅館の雑用?」
「経理担当だそうです。幼いころからここにいるので詳しいことはわかりませんが」
(買いだめに関してはどうにかなりそうね。アニーったら意外と使えるのね。あなたは運がいいってことよ・・・カジノにはアニーを連れて行こうかしら)
「ロースチェント アリアお嬢様またお会いしましたね」とアースがチューリップの花束を持ち現れた。
(アース・・・!?)アリアは驚く。
「会うたびにどこか違いますね」
「なんの用ですか?」
「いかがお過ごしなのか気になっていたところです今回は道端ではなくカフェでお会いできたので・・・お茶でもご一緒しませんか?」
(お祭りの時・・・助けてもらってお礼も言ってなかった・・・いまさらだけど)
悩むアリアにアニーが小声で言う。
「お嬢様!あの人下からずっとこちらを見ていましたよ!」
「そうなの?」
「カフェを覗いているだけかと思ってたんですが・・・怪しい人じゃないですか?護衛隊呼びましょうか?」
「そうね・・・別のテーブルにいてくれる?お茶だけしていくわ」
「お嬢様!」
「!?」
「ありがとうございます」
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「大丈夫ですかね?」
ヒソヒソ話すアニーに「騎士がドアの前で待機しているわ」と困った様子でジェシーが言う。
「危険人物ってことですか!?もう少し近くに行ったほうがいいですかね?」
「でも・・・お嬢様は2人きりでお話したいようなので・・・」
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「意外ですね断られるかと思ってました」
「その通りです。見ず知らずの人と何度も会うのはあまり嬉しくありません」
「今日はほんとうに偶然です」
「あの花だって私が知る限り・・・皇居近隣にある花屋でしか売っていないはず。皇居内で育てたものを調達していると聞いたわ。そこにしか咲いていない高級チューリップだけど・・・皇居はあんなに遠いから偶然なわけがないのよ」
「なにが言いたいんですか?」
「私にはお見通しってことよ。花についている水滴を見ればわかります。残念ながら私は花に詳しくて・・・」
「違います。お嬢様を偶然みつけて急いで買った・・・としか言えませんね」
(それがありえないんだっつーの!)
「でも嬉しいです」
「あなたを喜ばせることはなにもしてないですけど・・・」
「あの時はじめてお渡しした花束・・・”うっかり”おとされたのにそれを覚えていてくださるとは少しは気にかけてもらえたのですね」
(なにを誤解してるの?)
「プレゼントでもらった花と同じ種類だから覚えているだけよ!」
「プレゼントで?へぇ・・・チューリップはこの国の国花ですからセンスありますね」
(なにを言っても笑ってるのね・・・なんかムカつく私に興味があるのかしら・・・なんて思ったけどあの目を見る限り楽しんでいるだけね。男には慣れてるからわかるのよ!
これからのことも考えたいのにこんな奴いたら邪魔でしかないわ。ここで終わらせとこう)
「僕は結構お嬢様のこと気にかけていますよ。ロースチェント伯爵が始めた毛皮の事業の助言者だとか・・・素晴らしいじゃないですか。それを表に出そうともせず・・・」
「なんなの・・・」
(伯爵はそんなこと言うはずない・・・レイン・・・あんたなの!?)
「その話・・・」
「へぇ~ほんとうなんですね。噂で耳にしただけだったので」
「え・・・」
(あのとき砂時計をひっくり返してなかったことにしたんだっけ・・・伯爵が言い逃れしてなんか変な空気になってた・・・よね・・・こいつに騙された!砂時計を・・・)
砂時計をひっくり返してやりなおそうとしていたアリア。
「それにお嬢様は噂とは大違いで礼儀正しく聡明な方だと聞きました」
(レインがなんて言ったか知らないけど・・・こんな地方の貴族(推測)まで噂が広まってたのね。まずはこれから収拾つけよう・・・)
「そこでお嬢様を招待したいのですが。正確には僕が主催する小さな集まりで・・・お嬢様にぜひ参加していただきたいと思っています」
「女性に参加させるのですか?」
「説明不足でしたね決して怪しい集まりではありません。女性だからという理由で呼ぶ訳ではなくお嬢様の聡明さが力になると思い招待しようと思いました。知識を共有できたら嬉しいのですが」
「ほかは皆男性ですよね?」
「はい」
「私なんかを呼んだりしたらあなたの評価が下がると思うわ」
「よく思わない人には僕の集まりから抜けてもらいます。そんな偏見をもつ人がいい討論ができるとは思わない。簡単に言うと社会・政治・経済に関する知識を話す場だと思ってください。僕はお嬢様の意見が聞きたいと思っているので」
(そんな場に私を・・・?将来のためにも必要な知識・・・こういったものは男性が主導権を握ることが多いから女性から情報を得るのは難しかった。
さすがにこれは思いつかなかったわ。こんなチャンス滅多にない。でも・・・この人を信じていいのかしら?)
「警戒心がお強いのはわかっています。今すぐにお返事をいただかなくても大丈夫です。伯爵家に侍従を送るのでその際にお返事をください」
「うーん・・・」
「それと」
アースはアリアの髪についていた花びらを取る。
「やはり花びらでしたか。お嬢様の一部かと思い悩みましたが花びらで間違いないようです。ではまた今度・・・」
「お嬢様大丈夫でしたか?」
「えぇ」
(・・・・・・変わった人だと思ってたけど・・・意外としっかりしてるのね・・・最後はふざけてたけど)
******
「こんにちは!また来ました~」とレインが花束を持ってやってきた。
「こちらはミエールお嬢様のお花です」
「とても綺麗なユリですね!」
(また来た・・・)
「ご主人様の庭園で育てたお花ですよ~」
「それとこちらは・・・アリアお嬢様のです」と言いチューリップの花束をアリアに差し出した。
「これは・・・この前も・・・」
「はい、そちらもご主人様の庭園で育てたお花ですよ」
「えっ・・・?」
第33話 感想
レインの最後の言葉・・・かなり意味深ですね。アリアもこれでレインの主人が皇族かと気づくのかな?