第16話 ネタバレ
「・・・イザナおまえの力は呪いだ。おまえはその力でおまえだけでなく、みなを不幸にすることだろう。どうか私を恨まないでくれ」
父によって塔に幽閉されたイザナ。
(好きで手に入れた力ではないのにどうして!!)
(俺の力は本当に呪いのようだった。いつからはじまったのか何がきっかけだったのか何一つわからない。生きることを諦めようとしたこともある。呪われ親からも捨てられた俺なんてこの世に必要のない存在なのではないだろうかと・・・)
だけどそれすら怖くてできなかったイザナは死ねないがゆえ生きるしかなかったのだ。そして決意した。いつかこの塔から出る日のために今やれることをやろうと。そしてイザナはこの力について調べはじめる。どうすれば力を使うことができるのかはわかっていた。イザナの力は誰かと目を合わせることで使うことができる。
目が合ってから短ければ三秒長くて十秒ほど。知ろうとすれば相手が隠している醜い心まで読むことができた。そしてこれまで例外はなかった。
・・・たった一人を除いて
(一体どうして?)
「陛下、ジンジャー様をご自宅まで送り届けて参りました」
「ララご苦労だった」
「ところで・・・ジンジャー様からお望みの答えが得られましたか?」
ラキシャンがイザナに尋ねた。
「いいや」
(雑談で終わり本題にすら到達しなかった)
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【イザナの回想】
『・・・あなたの傷?』
「よくそんなクサいセリフを平気で言えるね・・・」とイザナは笑う。
「陛下・・・そんなに笑わないでください」
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(あんなにたわいもない会話をしたのは生まれてはじめてだった。裏表がある人間をこれまで何人も見てきたからか純粋そうで新鮮だ。
生姜令嬢はどうしてあんなにもわかりやすいのだろうか?)
「陛下・・・?」
「明日も人を招こうと思っている」
(そんな生姜令嬢があれほどまでに隠そうとしているのを見ると俺に話せない何かがあるに違いない。俺が知ると困るなにかが・・・)
「レラジエ・アトランタを呼んできてくれ」
ラキシャンはイザナの言葉に反応するが、「・・・かしこまりました」とこたえた。
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「なんなのかしら・・・このネックレスに何かあるみたいだけど検討もつかないわ」
(ジンジャーがキキにその理由を話すとは思えないからキキに聞いても仕方がないし)
「単細胞生物のジンジャーに悩まされるなんて心外だわ!!」
(それはそうと陛下はいかがお過ごしかしら。イザナ陛下のあの瞳が忘れられない。あのとき間違いなく陛下が私に何かを言いたそうにしていたのに・・・
それなのに・・・ジンジャーに邪魔をされてしまった。せっかく陛下とお話する機会だったのに)
「レラジエ様?」
「誰?」
(・・・おかしいわね。どこかで会ったことがあるような・・・)
「突然申し訳ございません。私はイザナ陛下の補佐官ラキシャンと申します」
(ラキシャン・・・はじめて聞く名前だわ。でもなんだか見覚えが・・・)
「レラジエ様?」
「あ・・・すみません考え事をしていたもので・・・陛下の補佐官がどのようなご用件ですか?」
「陛下がレラジエ様をお呼びです」
「陛下が?」
(陛下が私を!?)
第16話 感想
イザナが今度はレラジエを呼び出したようですね。レラジエも見覚えあるようなラキシャンはやはりハメルなのか気になります。