第19話 ネタバレ
「本当にもう終わりなのか?一時間も待ったのに帰ってこないなんて・・・」
ジンジャーの帰りを待っているキースは父の言葉を思い出す。
『キース!一体何をやってくれてるんだ!婚約を破棄され私の顔や一族の名に泥を塗るつもりか!?浮気するなら見つからないようにすべきだろう!』
「くっ!父上の耳に入らないようにしなければいけなかったのに!ひどいよな・・・結婚前はいろんな女に会えって言ってたくせに今さら怒られたって!!」
(だけど一族の名に泥を塗るようなことだけはしない人だ。婚約破棄を受け入れるはずがない)
(あんな敗北感を味わったのははじめてだった。それなりの家柄でそれなりにかわいいから結婚するのにちょうどいいと思っただけ。まさかジンジャーがあんなに美しい女になるなんて・・・
他の男に取られたくない特にイザナあいつにだけは!)
「うわぁ~!こんなことならレラジエによそ見なんてしなかったのに!どうすれば僕を許してくれるの!?」
キースが自分の行いに嘆いていると、テーブルに足が当たって本が床に落ちる。
「あっ!!これは・・・ジンジャーの読みかけの小説?『幽閉された皇子と侯爵令嬢』・・・」
******
(キキはもう帰ったかな?次からは絶対に中に上げないように言っとかなきゃ。んっ?ここは・・・)
「ララ、陛下は今日も庭園にいるんですか?」
「はい」
「いつも外にいるんですね」
「その理由はジンジャー様もよくご存じのはずです」
「えっ?私が?」
「では陛下がお待ちです」
(う~ん・・・庭園・・・華やかな宮殿じゃなくてどうして外に・・・あっ!本に書かれてた気がする!長い間、塔に閉じ込められてたから狭い空間が嫌いで一日の大半を庭園で過ごすって。レラジエともいつも庭園で会ってたはず・・・
でもララは私がそれを知ってることをどうして知ってるの?勘がいいから?本屋さんで会ったときも・・・なんだか妙な違和感を覚えた)
「やぁ生姜令嬢」
「・・・お招きくださりありがとうございます陛下」
(いつまで生姜って呼ぶのよ?でも今日はお願いをしにきた身だから・・・我慢よ我慢)
「この間レラジエ・アトランタに会った」
「あの女に・・・!」怒り爆発するジンジャーだったが、「あ・・・えっとレラジエさんにお会いになったのですか?」と尋ねた。
「うん、あの女に会ったんだ。あ、いやあの人に」
「・・・まさか私をからかっていらっしゃるのではないですよね?」
「うん?そのまさかだけど?」
(あぁ笑顔が眩しい顔さえよければ何してもいいの!?やっぱ・・・顔さえよければ何してもオッケーだわ・・・いじられてもうれしいんだもの・・・)と思うジンジャー。
「と・・・ところでレラジエに関する疑問は解決しましたか?」
「それは秘密」
「ケチ」
「ケチなのは生姜令嬢だよ」
「私ですか?」
「俺は気になって仕方ないのに大事なことはひとつも話してくれなかったじゃないか」
「・・・それには事情がありまして」
(あなたには本の話をすることができないの!あの本はまだ謎に包まれてるしまだまだわからないことだらけ。説得力のある説明なんてできないし・・・)
「まあそれはいいとして俺に会いたがってたんだって?」
「あっ!はい実は陛下にお願いがあるのです」
「お願い?」
「ご存知かもしれませんが私には婚約者がいます。でもそいつがクソみたいな野郎なので婚約を破棄したいのですが、そいつの父親が自分より地位の高い人に命令されない限り婚約をなかったことにはしないって言うんです!」
「ジンジャー・トルテ四月に公爵令息キース・ミケルセンと婚約。そのクソみたいな野郎というのは・・・キース・ミケルセンのことか?」
(めっちゃ詳しく知ってるし!身辺調査したって言ってたもんね)
「はい最低な人間なんです。日常的に浮気をするので許せません」
「それはひどい・・・その男の顔を生姜みたいにしてやりたいくらいだ」
(うわっ!もうホントやめて!!)
「へ・・・陛下!まだ覚えていらっしゃったのですか!?」
「とても印象に残っているからね。つまり生姜令嬢の婚約をなかったことにするように命令すればいいのか?」
「その通りです!」
「ミケルセン公子に非があるというのは同意する。他の誰でもなくおまえの宿敵レラジエと・・・あっ傷をえぐるようなことを言ってしまったね」
「いえ・・・大丈夫です。私のことすごく詳しくお調べになったんですね」
「もちろんさ・・・それほどおまえのことが気になったから」
(私じゃなくて私の発言に興味を持ってくれてるってことはわかってる・・・それなのにどうしてこんなにドキドキするの?)
「浮気されたことは哀れに思うけど俺もタダで頼みを聞くわけにはいかない」
「それならどうすればいいですか?」
「取り引きをしよう」
第19話 感想
キースに本が見つかってしまいましたがどうなるのか・・・気になります。ラキシャンも怪しすぎですし。