第5話 ネタバレ
「つまり~僕が言いたいのは婚約を解消するのはまだ早いってことなんだ」
ジンジャーの婚約者キキが言う。
「ふーん」
素っ気ない言葉でかえすジンジャー。
「いずれまたレラジエよりジンジャーを好きになるかもしれないし・・・」
「ふーん」
「レラジエに惹かれたのは・・・男ならみんな一度くらい・・・」
「へぇー」
「ジンジャー聞いてる?ジンジャー!!もちろん悪いのは僕だけどこんなのあんまりだよ!婚約者が毎日のように謝りに来てるのに」
「あっそ・・・やっぱ婚約解消しよ」
「ダメだよお願いだって!父上に知られると殺される!!」
(ほらね~私に謝る本当の理由はそれなんでしょ。わかりやすい男・・・)
(普段なら殴りたい衝動に駆られたはずだけど・・・今はキキの話なんかどうでもいい。しきりに頭に浮かぶあの男、顔も知らない男だけど・・・どういうわけか気になって仕方がない。)
ジンジャーはイザナの想像画を描きながら本の内容を思い出す。
【本の内容】
宴には数多くの人が集まっていたにもかかわらずイザナの黒い瞳はレラジエに向けられ、そのままイザナは彼女から目を離すことができなかった。目が合った相手の考えが読めないのははじめてだったからだ。そんな彼女にイザナは徐々に惹かれていった。イザナがレラジエの考えを読むことができなかった理由は・・・
彼女の赤いネックレスにあった。それは王国の魔法使いだった彼女の祖父の遺品であり彼女も知らない不思議な魔法が込められていた。ネックレスの持ち主をいかなる脅威からも守る力。イザナの力もネックレスの持ち主にとって脅威となるためイザナはレラジエの考えを読むことができなかったのだ。
(イザナはますますレラジエに惹かれた。考えてみれば小説の中の赤いネックレスもそのネックレスをレラジエに遺した人物も実在する。レラジエの祖父ゲシュト・アトランタ彼は事実、王国で有名な魔法使いだった。
本の内容通りになっていってるこの状況ですべての鍵を握っているのはあの女がいつも大切そうにしてる赤いネックレス・・・あれだよね?)
「キキ・・・そんなに私に許してもらいたいの?」
「もちろん!!」
「それなら一つお願い聞いてくれない?」
******
「ブツは?」
「あのさジンジャー・・・もう一度考え直してくれないかな?あのネックレスより高いものを買ってあげるから」
「ダメあれじゃないと意味がないの」
「はぁ・・・それなら仕方ないね」
キキは内ポケットから赤いネックレスを出した。
「ネックレス!!成功したのねキキ!」
(レラジエのネックレス!これさえあれば・・・!私が小説の主人公にされるかも!でもこのネックレス・・・特別な感じが一切しない・・・ホントに魔法なんか込められてるの!?)
「ジンジャーどうしてそのネックレスが必要なの?」
「ひ・み・つ あんたと同じく私も私的なことで必要なの」
ジンジャーの言い分に返す言葉がないキキ。
「これで僕のこと許してくれる?」
ジンジャーにキキはオロオロ尋ねる。
「まあ・・・少しは?」
「よかった・・・少しでも許してもらえて」
(嘘だけどね~)
「それよりキキもう一つお願いがあるんだけど。これを聞いてくれたらあんたのこと完全に許せそうな気がする・・・」
「ホントに!?何!?許してもらえるのならなんだってするよ!」
「二日後イザナ王子が開く宴にレラジエと参加してちょうだい」
「待って僕はジンジャーと一緒に行くべきだよ僕たちはまだ婚約関係だから・・・」
「いいから あんたはレラジエと一緒に参加すること」
(キキもレラジエも信用ならないんだもん。もしこのネックレスが偽物だったらレラジエが本物のネックレスをつけて来られないようにキキが邪魔をするはず。こうすることでどう転がってもレラジエがあのネックレスをして宴に来ることがなくなるってこと
どうだ~私の二重作戦は)
*****
【二日後】
一番のお気に入りのドレスに一番よく似合う髪型メイクも気合いを入れレラジエのネックレスを身にまとえば・・・準備完了!
「まぁお嬢様お美しいです!」
(完璧だわ!これで小説通りになる確率はゼロ レラジエ今に見てなさい敗者の逆襲よ!)
第5話 感想
本の内容を変えようとしているジンジャーですが、顔も見たことがないイザナが気になる時点で本に惑わされてるような感じもするな~と思いました。
果たしてジンジャーは悪役でなく主人公になれるのか?