第14話 ネタバレ
婚約式の予行練習の日がまもなくやってくる。
「お嬢様最近またお痩せになったようですねご実家にいらっしゃったときよりずっと服のサイズが小さくなって・・・」専属メイドのエイミーが心配する。
「そうかもしれないわね。いろいろあったから・・・これからはたくさん食べて元気になるわ」とバレリーは言う。
(ここで生き残るためにはそうしないとね。生きる道もできたことだし!)
(ボルシェイク家にいらっしゃるときはいつも無気力だったのに・・・ここに来てから少しやつれたように見えたけどなんとなく活気だでてきたように感じる)
「外がなんだか騒がしいわね」と専属メイドのシニアは窓を見ながら話す。
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屋敷の外では騎士が2人仲間に囲まれながら、片方に抱きしめられていた。
「なんだ公認カップルか?」
エドウィンは騎士たちに声をかけた。
「殿下!!」
「大丈夫だって俺は理解してるから愛があれば何でも克服できるもんな!」
エドウィンが言うと、騎士たちは文句を言いたい目つきだった。
「何で俺をそんな目で見るんだ?」
「殿下がボルシェイク令嬢を抱きしめて寝たりしたからこんな罰則ができたんですよ!」
「え?彼女がそんな罰則を作ったのか?」
(俺がちょっと来ない間にいったい何があったんだ?)
エドウィンが歩いていると次は両手を上にあげてるメイドに会う。「何をしてんだ?」と声をかけると「罰を受けてるんです」とメイドは話した。
メイドの上げてる腕をちょんと突っつくエドウィンに「きゃぁっやめてください!すごく痺れてるんですから!」と言う。
「これは何の罰だ?」
「最初にご令嬢に無礼な振舞いをしたという理由で謹慎処分と言われたんですが少しの間こうしていたら許してくださると仰ったんです!」
「誰が?」
「ボルシェイク様です。実はとてもお優しい方だったんですね。またセレニアお嬢様のところに戻ってもいいって!」
「君はセレニアと付き合っているのか?」
「何を仰るんですか!セレニアお嬢様は公爵殿下とお付き合いされてるんでしょう?」
「それは違うだろ!」メイドの言葉に唖然とした様子を見せ、すぐに否定する。
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エドウィンはカイロスに今日の出来事を話していた。
「お前の使用人たちの罰則を全て令嬢の指示通りにしたんだって?」
「か弱い彼女が精神的に大きなショックを受けたからな」
「婚約者だとしても結婚前は外部の人間なのに意外だなぁ。他人が自分の下の者を動かすことを絶対に嫌がるカイロス殿下なのに。恋愛小説まで探して読むところを見るとかなり彼女に入れ込んでるようだな。こんなの初めてだろ~」
「婚約関係にあるなら恋愛小説みたいな関係を構築するのは当然じゃないか?婚約者の安全のために力を尽くすのも当然な義務だ」
「え・・・?」
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【回想】
(もっともこいつは子供のときからそうだった。)
「お前ずっとそれやってて飽きないのか?」
木刀で素振りをするカイロスにエドウィンは言う。
「素振りの練習をしろって言われなかったか?やらないお前の方がおかしいんだよ」
「こういうときは休むに決まってんだろいっつもスケジュールがびっしりなんだから。俺は皇太子だから仕方ないとしてもお前のところの元老院のじーさんばーさんはちょっとひどくねぇか?素直に言うことを聞く子を連れて来て俺よりもキツいスケジュールを組むなんてな~」
気にせず素振りに励むカイロスを見て(ガン無視?)と思うエドウィンだったが諦めずに話しかける。
「一度くらい他のことをしてみたいと思わないのか?こんなのじゃなくてもっと面白いやつ!突然逃げ出したいとか、泣きながら駄々をこねたいとか、元老院の年寄りたちを利用したいとかそういう考え」
エドウィンが尋ねるとカイロスはぼんやりと上を見て「小さいときはそうだったな幼児期の人間は長時間集中することができないから」と言う。
「・・・そういう意味じゃなくて」
唖然とした様子でエドウィンは言う。
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(本当に反抗したいとかまったく考えないのか?飼いならされた犬じゃあるまいし)とエドウィンは思う。
「本当に婚約者としての義務を果たすためだけにこのすべてのことをやってるっていうのか?」
「そういうのとはちょっと違うんだが・・・彼女は初めて一緒に食事をする席で突然逃げたんだ。そして二度目に会ったときには泣いていて。三度目には何かを狙って僕を探るように見たんだ。何を考えてるのか分からないから気になるんだ」
(つまり今の状況は飼い慣らされた犬の前にめちゃくちゃ跳ねるボールが飛んできたってことか?)
「じゃあ世間話はこの辺にして一緒に彼女のところに行くことにしよう」
カイロスはエドウィンの襟元を掴んで言う。
「え?突然?」
「さあ罰を受ける時間だ」
第14話 感想
バレリー可哀想に・・・またストレスがたまりそうですwww今度は皇太子に与える罰を考えなきゃならないなんて・・・もう、誰の罰か分からなくなりそうですね。