第13話 ネタバレ
「ソファーに座るんだよっソファーに!!」
チラッとバレリーの顔を伺うカイロスにこの人はどうしてすぐに膝をついちゃうんだろ?もともとそうなのか?前世が犬だったのか?とバレリーは考える。
「人に謝るときはこうやるんだと習った」
「は?どういうことですか?」
「昨日あなたが寝ている間に勝手に入ったことどうか許してほしい」
「・・・確かに・・・びっくりしたけど、もう気にしてませんこうして謝ってくれたことですし」
「いや僕のしたことにふさわしい罰を与えてくれ」
カイロスの言葉に騎士からの謝罪を思い出し、あんたもかいっ!!とバレリーは思う。
「気持ちばかりが先走ってあなたがどんなに驚くかなんて考えもしなかった申し訳ないどんな罰でも受けるつもりだ」
バレリーは罰として「腕をこうして上げてください」と話す。「このくらいでいいのか?」と尋ねるカイロス。バレリーは距離の近さに顔を赤くして「もっもちろんです!!」と話バッと離れた。
「一時間そのままの姿勢でいてください」
「じゃあ罰を受けている間、話してもいいか?あなたは僕のことを何か誤解して避けてるようだがそれが何なのか・・・」」
「誤解・・・」
(そうだもしかすると私は生命の危険から逃げることに焦って彼らのことを変に見ていたのかもしれない)
「誤解なんて・・・そうですね確かにそうかもしれません」
「いったい何を誤解していたんだ?」
そんな歪んだ見方がだんだん私を窮地に追い詰め行き止まりのところでとんでもない藁を掴んでしまった。これからは現実をしっかり見つめて判断しないと
「・・・あなたとセレニアさんが私を傷つけるかもしれないという誤解です」
私の目の前にいるこの男がどういう人なのか
「僕とセレニアは罪のない者を傷つけたりしないぞ」
誰も傷つけたりしないとは言わないのかとバレリーは思う。
「特にあなたのことは絶対に傷つけたりしない。もしもそういう奴が現れたら僕がそいつを傷つけてやる」
「そんなポーズでカッコいいこと言ったって全く心に響かないわ」
笑うバレリーにカイロスは初めて笑った!と思っていた。
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バレリーはビクトールと部屋で話していた。
「いただいた書類に目を通しました。慣れない言葉も整理しておきました」とバレリーが言う。
バレリーの言葉を聞きビクトールは「早いですね。今日は顔色がいいようですね安心しました」とこたえる。
「そうですか?」
(それは恐れていた虎たちが実は親切でちょっと可愛いところもあってうまく立ち回れば噛まれることはなさそうだという希望が見えたからなのです!)
「ああボルシェイク様の体力を考慮して結婚式の日程は半分以上短くしました」
「そうですか元老院の方々にお礼をお伝えください」
「いいえお礼は殿下に直接仰ってください」
「え?」
「元老院では今まで長い日程にこだわってましたが殿下がうまく説得されたようです。その代わりに婚約式の予行練習をしなければいけませんが・・・」
「ボルシェイク様がご自分でお礼を仰ったらとてもお喜びになられますよ」
(今まで偏った見方をしていたけど意外と繊細な気配りもできる人なのね)
「殿下は生まれつき全てのものを持っていらっしゃいました。たいていのものはたった一度で専門家レベルまで身につけてしまうんです」とビクトールが話してきたのでバレリーは突然何の自慢なの?と思った。
「子供の頃からそうでした。経営の授業を4時間で終わらせたことは今でも伝説になっています。しかし多くの才能に恵まれている殿下にも致命的な問題があります」
「・・・問題ですか?」
「人間関係です。何一つ不自由なく育ったせいか人間関係はまったくダメなんです。ましてや恋愛に関しては言うまでもなく全くのダメダメです。こんな人がいつか結婚して可愛い子供たちの父親になれるのだろうかといつも心配しておりました」
「・・・・・・私にこんな話を聞かせるってことはもしや・・・」
「はい、そのとおりです」
(恋愛に疎い公爵のサポートをしろってこと?)
「・・・なるほど。そういう方法があったのね」バレリーはブツブツと言葉に出す。愛のキューピッドになれば彼らが私を傷つけることはないはず!
「きっとなれますよ可愛い子供たちのパパに。この私が精一杯頑張ってみます!!」
「はい・・・ありがとうございます」
(予想通り積極的な方だな)
バレリーの宣言を聞いたビクトールはククッと小さく笑い顔を赤らめて思う。
第13話 感想
カイロスと少し打ち解けることができたバレリーですが、ビクトールとのやりとりで誤解が起きてしまったようですねwwww