第7話 ネタバレ
月が見える夜中のこと、日中に約束したカイロスとセレニアは屋敷の外であっていた。座るカイロスにセレニアが話しかける。
「婚約者のことを考えているのかしら？」
「セレニア・・・彼女は体が弱いみたいだからそれが気になってるだけだ」
「本当にそれだけ？」
「・・・僕のことをまるで疫病神でも見たように避けていたがいくら考えてもその理由がわからないんだこういうときはどうしたらいいんだろう・・・と考えるんだ」
「まあ、あなたのことを誤解してるんじゃない？」
「明日の朝、起きたらすぐに聞いてみよう」
「すぐにその理由を教えてくれるくらいなら最初から避けたりしないんじゃないかしら？」
「・・・・・・」
「少し時間をかけて見守るのがいいと思うけど一緒に過ごしていれば自然に話せる機会も増えるだろうし。きっとカイロスを誤解してたことに気づくわよ私がそうだったようにね。それに明日の朝も私たち練習するんでしょう？換骨奪胎をするなら集中しないと」
セレニアの言葉にカイロスは立ち上がり「なるほど、それでは一手お願いします」と話すと、「いいわよこちらこそお願いするわ」とセレニアが木刀を構えて言う。2人は木刀で打ち合いを始めた。
バレリーは家族の夢を見ていた。
あ・・・私の家だわ私は半年を無事に過ごし円満に婚約解消となりついに帰るんだ。お父様お母様会いたかったわ。そして妹と弟この子たちちょっと見ないうちに大きくなって・・・本当に大きくなったのね・・・だけどちょっと大きくなり過ぎじゃない？
目が覚めたバレリーは知らない男が横に寝ていたので考えにこむ。
（温かいことは温かいけど・・・この違和感は何？誰だっけ？誰かは分からないけどものすごく幸せそうだわ。疲れすぎて幻想でも見えてるのかな？悪い夢？）
男から離れようと手でおすバレリー。触れた感触に・・・リアルか？？と思う。
さらに、エイミーたちが部屋に入ってきた。「あの人は」と専属メイドのシニアが言う。同じく専属メイドのエイミーは「キャアアアッ！！」と悲鳴を上げた。冷や汗をかくバレリーは人の死に方って本当にいろいろあるのね・・・と思う。
悪魔のような女主人に追い詰められて死ぬ。婚約者の恋人の恨みを買って死ぬ。不倫女と吊るし上げられ死ぬ←NEW
私がここで普通に起きてたらこりゃ誰が見ても不倫だわ。とりあえず寝ているフリをすることにしたバレリー。
「助けてください！お嬢様が・・・！」
エイミー人を呼んでどうするつもりよ・・・とバレリーは思う。
「ボルシェイク令嬢に何かあったんですか！？」とイズリアルが来た。
「こちらです！！このならず者！お嬢様を離しなさい！何なのこのバカ力は！？二人ともどうして黙って突っ立ってるんですか？」
「いや・・・その方はならず者じゃなくて・・・」とシニアは言うが、
「ならず者がお嬢様を抱きしめて離れないんです！今すぐ公爵殿下にこのことをお知らせ・・・」焦るエイミーは聞いていない。
仕方がなく起き上がったバレリーは「ダメよ！！」と隣に寝ていた男の頬を叩く。
「お嬢様！！やっとお目覚めになられましたね！！」
（ちょっと待ってそういえば・・・紫色の髪・・・？）
「皇太子様！！」イズリアルとシニアが慌てて呼びかける。
「なんだよ・・・痛いじゃないか」と涙目で起き上がる帝国の皇太子エドウィン・ヒューゴー・バテリオン。
「あ～だからかぁ 俺は枕を抱いて寝てたんじゃなかったのか。どうりであったかかったわけだ。俺はまたセレニアがおかしなものでも作ったのかと思ったよ。」と話す皇太子に
「どこでもお休みになってしまうその癖をお直しください！」とイズリアルが言う。
「でもカイロスがどこでも寝てもいいって言ったんだぜ。いつでも好きなときに好きな部屋を使っていいって・・・イテテッ」叩かれた頬を手で押さえる皇太子。
（生きようとする意志があまりにも強すぎて皇族の体に傷を負わせてしまった。実際に皇族と向き合うのは初めてだから今まで読んだ小説に出てきた皇族のことを参考にして私の未来を想像してみると）
皇太子がフツーの人だったら
「俺を殴ったあの女をボコボコにしろ」残酷な結末。
皇太子が変態だった場合
「俺を殴った女は君が初めてだ」強制不倫で破断という結末。
もしくは本当にラッキーな奇跡が起きるとしたら
「え？どうして殴ったんだ？皇太子である俺がこんなことを言ったらダメだと年寄りたちはうるさく言うけど」
本当にラッキーなことに
「とんでもないことをしてしまって悪かった」
『この皇太子は素晴らしい聖君になる器の人だった』という結末。
私ったらさっきからくだらないことばかり考えてるつらいことばかり起きるから・・・これでもう一つヤマを無事に超えられたら・・・涙目のバレリー。
「それはそうと俺を殴った女は君が初めてだな」とニヤッと皇太子は笑った。
第7話 感想
セレニアとカイロスはバレリーの想像とは違った関係のようですね。バレリーは皇太子を叩いてしまい、またピンチが訪れてしまったわけですが・・・何とも怪しいにやけ方でした。バレリーの想像通りへんたいなのかなwww
