第34話 ネタバレ
「陛下!」
(ハッ!)
フェリックス「陛下・・・?」
(びっくりして心臓が止まるかと思った・・・!)
「まだ夜明け前なのになぜこんなところに?」
「・・・・・・」
ムッとするフェリックス。
「フェリックス・・・?」
「まさか・・・お散歩にマルカス公爵だけをお供させたのですか・・・?そんな・・・」
なぜか良心が痛むユリア。
「実はな・・・酒を飲みすぎたせいで・・・」
「お酒ですか・・・?夕食でお飲みになったのはそんなに多い量ではなかったんじゃ・・・」
「それが部屋に入ったら・・・」
(しまった!フェリックスに知られたらまずい状況になりかねない!)
私は数ヶ月の間なぜフェリックスが『狂気の羊』と呼ばれているのかを身に染みて痛感した。
(『狂気の羊』っていくらなんでも言い過ぎでしょ!愛なのよ愛可愛いじゃない
・・・と思っていた昔の自分に考え直せと叫びたい!)
この羊はユリアのことを神の如く盲信してやまなかったがユリア以外の相手には本当に容赦がなかった・・・
(わかっていたのに・・・!口を滑らすなんて!)
「もしかして・・・お部屋で公爵と二人でお酒を酌み交わしたのですか?」
(えっ?)
「い・・・いやそうではなくて・・・」
「最近、陛下がお酒を控えてることは存じております」
(ううっ・・・)
「まさかボクにだけ言えない事情があるわけではありませんよね?公爵はよくてボクが知ってはいけないようなことなのですか?」
目をウルウルさせて訴える。
(これに耐えるのは無理だわ。こうなってしまった以上仕方ない・・・ちょうど眠かったからむしろ好都合かしら・・・)
「実はスチェータ男爵から・・・」
「!」
「私のために無意味な『プレゼント』が用意されていたんだ」
ピタッ
フェリックス「え?」
ユリア(さっきまではそよ風が吹いてるように穏やかだったのに・・・)
「ま・さ・か公爵はそれを見ておきながら何もしなかったわけではありませんよね?」
「・・・・・・」
ピク
「まったく!だから陛下のお傍にいるべきなのはこのボクだと言っているんです!」
(ここでユーストの味方をするのは絶対ダメだ)
ポンと肩に手を置き
「それでなんだがフェリックス」
(だけど今まで一緒に過ごしてきたおかげで扱い方がわかってよかったわ。フェリックスは一度根に持つと収拾がつかなくなってしまう)
「頼みたいことがあるんだ」
「はいっ!なんでしょう」
(うわ・・・昨夜、一緒にいたのがユーストでよかったわ)
もし昨夜一緒だったのがフェリックスだったら演技だとわかっていてもなんらかの手を打っていたはず。
それでは困る・・・
(それにあの魔法が必要なのは昨夜ではなく今なんだから)
「私の寝室で寝ている男どもを追い払ってくれるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・?今なんと・・・?」
「だから私の寝室に・・・」
「あんな無礼な者たちを放っておいたのですか!?」とフェリックスがユーストに尋ねる。
(やはり信用ならない!マルカス公爵!陛下になんということを・・・)
(一緒にいたくせになんでこんな状況にさせておいたんだという顔だな・・・)
ハァーとフェリックスがため息をつく。
フェリックス(やっぱり・・・陛下の身の回りを補佐するのに相応しいのはこのボクしかいない)
ユリア(今度は『やはりボクしかいない』という顔だわ)
「すぐに片付けます!」
「頼んだぞ」
******
「うわああっ!」
「よくも陛下の目を汚してくれたな!」
ユリアの部屋で眠る男たちと追い払うフェリックスをユリアが隠れて見守る。
ユリアがユーストに
「お前のせいではないのにいやなことを聞かせてしまったな」と話す。
(会社勤めの時もこう言う状況が一番気まずかったわね。本当に申し訳ないな・・・)
「陛下そのようなことはどうかお気になさらず」
「ユースト」
「フェリックスになんと言われようが構いません。子羊ごときにぶつかられたところで軽くかわせますから」
(そういえば・・・黙ってやられる性格ではなかったか。ユーストもユリアの前でのみ大人しかったわね)
彼がフェリックス同様温和な態度を見せるのはユリアの前でだけだったから。
フェリックス「陛下は優しすぎます」
「ん?」
「あんな無礼な男どもは木の枝にでもぶら下げておけばよかったでしょうに!」
「そういうわけにはいかない」
「みな私の帝国民だからな」
ボン!
フェリックスが顔を赤くする。
「掃除から換気まで全て終わらせておきました!やっぱりボクが一番陛下のお役に立ちますよね!?」
第34話 感想
ユーストとフェリックスの間で板挟み状態ですねwww