第62話 ネタバレ
ティータイムの後ルボブニの使節団はベルック宮殿に案内された。そして・・・まるで焼け野原のようだった庭園はすっかり元通りになっていた。
(早っ!大がかりな作業だったはずなのにすごいなぁ~)
神殿に戻ろうとしたら捕まった。
それでこの際みんながいる間はベルック宮殿で過ごそうかなと思ったんだけど・・・
エウレディアン「ダメだ今すぐ神殿に戻りなさい」
「ちょっとくらい、いいじゃないですか~」
「ルボブニに戻ったら飽きるほど一緒にいられるのだから我慢しなさい」
「じゃあ歓迎式は・・・」
「来なくていい。わ使節たちの顔も見れたしわざわざ参加する必要はないだろ?・・・君には危険な場所だ。エルラドも来るはずだしアゼキエヌの魔法士たちも参加する予定だから・・・
それに何かあったらルボブニの王がグルカマンロードを爆破する可能性もあるからな」
「あはは・・・」
(確かにあり得るかも)
結局・・・
「姫様にピッタリのドレスを選んでおいたのに残念ですわ」
クラリスはガッカリしてたけど歓迎式には参加しないことにした。
******
ラウルス様『以外と楽しいかもしれないぞ?』
「行かないって言ってるじゃないですか~それよりあの女が陛下に接近するかもしれないのでわたしの代わりにちゃんと監視してくださいね!」
『わ・・・分かった目を見開いて監視するから心配するな。ところで最近身体がムズムズしてどうも気持ち悪いんだが・・・』
「気持ち悪い?なんで急に・・・」
『しかも耳障りな音もする。まあ、気にするなどうせ私は魔力を認知できないし君の感覚の方が当てになるだろうから・・・』
(いや、気になるでしょ!)
「・・・・・・」
でも今わたしにできることなんて何もないし・・・暗黒の魔法にまたやられないように気をつけなきゃ・・・あと少しだけ持ち堪えたら今後数年間はここに来ることもないだろうしね!
——そうやって三国交渉の期間中は神殿で大人しく過ごすと決めていたのに・・・
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「・・・わたしを殺す気なの?」
(わずか半日で呼び出された)
「は?エレニカ!お前はルボブニの姫なんだぞ!しかも3ヵ月ぶりにやっとお前に会えたんだ!殿下と王妃様・・・それにテゼビア姫がどんだけお前を心配されたか知ったらオレたちのやることが大げさだって言えないはずだ!」
「・・・・・・」
(そんなの分かってるけど!)
「エレニカ姫をお守りできる僕たちがここにいるのに神殿に行かれるのはやっぱりおかしいです。姫を僕たちから引き離そうとする皇帝の意図も理解できません。それに明日の歓迎式にも参加されないといけないのでわざわざ神殿に戻られる必要はないのでは?」
「あっ、歓迎式には参加しなくてもいいような気がして・・・」
「まさか皇帝が参加するなと言ったのですか!?ベルゴットの皇帝がルボブニに奇襲攻撃を仕掛けて姫様を拉致したという噂が大陸中に広まっています。
私たちですら姫様が本当にご無事なのか不安で仕方なかったのに・・・各国の要人たちが集まる歓迎式にわざと姫様を参加させないということは・・・」
「お・・・お義兄さん?」
「姫様をルボブニに帰す気がないのをアピールする狙いなのでは!?」
「わたしが行かないって言ったんです」
「な・・・なぜですか?まさか弱点でも握られたのですか!?」
エウレディアンってそんなイメージだったの・・・?
******
「彼らがそう考えるのも無理ないだろう。君を拉致したのは紛れもない事実だから・・・原因を提供した私の責任だ」
「へ?」
(わたしを拉致したのはルボブニが調子に乗ったからだし公の場に出られなかったのは体質のせいなのに!)
「ごめんなさい意外とみんな心配性で・・・」
「大事な姫を奪われたと思っているだろうな」
「だとしてもベルック宮殿はダメだ」
「・・・・・・そんなぁ~」
「・・・同じ宮殿で過ごすのを許可するわけにはいかない」
「でもどうせ3日くらいしか残ってないし・・・」
「3日もだ」
「!」
エウレディアンが書類を置き、エレニカを引き寄せて抱きしめた。
「君はあまりにも不注意で・・・そばにいても不安になってしまうからな」
「・・・・・・」
ラウルス様『お?ちょっとは本気になったようだな』
小声「見ないでくださいよ!」
エウレディアン「ん?」
「・・・・・・」
「な・・・何でもないです。とにかく、だから会いに来たんじゃないですか~」
「・・・・・・」
「何度も突き放したくせに・・・帰る直前になって・・・こんなの反則ですよ」
エレニカがエウレディアンの髪に触れる。
もっと早くこうしてくれたら良かったのに・・・
「帰る直前だから我慢しているとは思わないのか?」
「・・・フン!」
はあ・・・この人を置いてどうやって帰ればいいんだろう?正直、帰りたくないって言いたいけど・・・それはただのワガママだし。ここにいてもこの男のそばにいることくらいしかできないから・・・
「歓迎式にはちょっとだけ参加します」」
「その必要は——」
「あります!陛下の評判を悪くするわけにはいかないので!ちょっとだけ顔を出したら済む問題だし・・・アイベン伯爵夫人もついているので1時間だけ参加させてください!」
「・・・・・・ディエリゴにも言っておくから彼のそばを離れないようにしなさい」
「わーい!ありがとうございます」
「・・・・・・」
ああ・・・どうしよう。やっぱり無理だよ・・・この男とお別れして何の未練もなくルボブニに帰るなんてわたしにはできない!
「・・・4年、4年経ったら・・・」
「4年?」
「はい、4年です。わたしの身体が4年持つと仮定して・・・」
「ルボブニにも神殿があるのになぜそのようなことを・・・」
「人生どうなるか分からないし・・・・・・ってそこがポイントじゃなくて!とにかく!4年あればソルレアをやっつけられますか?」
「・・・どういう意味だ?」
「もし、そうなったらその時は・・・」
(もう何度も言ってるはずなのになかなか口から言葉が出ない・・・)
エレニカが深呼吸する。
「?」
「その時は・・・わたしと結婚してください!」
第62話 感想
「4年あればソルレアをやっつけられますか?」ってエレニカのセリフじゃなければハニートラップに間違われそうwww