第6話 ネタバレ
「どうかされましたか?」
「本題に入る前に・・・お前に他の護衛をつけようと思うのだが」
「他の護衛?」
「そうだ、あんな忠義に欠ける奴ではいかん!もっとしっかりした者ではないとな!」
(魂胆バレバレ・・・)
「いえ、ロス卿で十分です。護衛を増やす必要もありません」
「ラン、お前の母親がワシから多額の借金をしていたのは知っているかな?」
「以前、ネックレスを購入した時にだな・・・予想外の借金だったのでワシも頭を抱えていてなあ・・・」
(借用書?待って1万ベラトも借りたの?利息だけで毎月1千ベラトじゃない!
3千ベラトなら騎士団の装備を一新しても御釣りがくる金額なのに)
「しかし姪であるお前なら借金を帳消しにしてもいいと思っているのだが」
「帳消し・・・ですか?」
「お前と本当の家族になりたいんだ」
「もう私たちは・・・血族ですが」
「息子とお前を結婚させたいということだ!」
(ヤバい!)
「息子って・・・従兄弟のロビーのことでしょうか?」
「そうだ年の差も4つしか離れてないしちょうどいいだろう」
(あの人酒と女に溺れたゲス野郎でしょー!確か最近はギャンブルにも手を出してるはず!)
(でも、まだ・・・あからさまに敵を作るべきじゃない。公爵家の財政が安定すまでは耐えないと!)
「叔父様お気持ちは嬉しいのですが借金のために結婚するのは・・・あまり気が進みません」
「だが1万ベラトがどれほどの大金か分かっているのか?
それに公爵家には他にも借金があるのだろう。もっと聡明な人の助言に耳を傾けるのはどうだ?」
「・・・叔父様のような方の助言でしょうか。ぜひお聞きしたいです」
******
「ロス卿?」
「もうこんな時間です。残りは明日にしてはいかがですか」
「ええ、そうしましょう!」
******
【回想】
「ロス卿、次からは私と叔父様が2人で話す時はあの配管を開けると会話が聞こえるから」
「・・・なぜそこまでされるのですか?」
「もちろん信頼を得たいからなんだけど。 う~ん、むしろ逆効果だったかな?」
「信頼・・・」
「そうするだけの価値は…十分あると思う」
******
~回想終了~
【帝国アカデミー】
帝国が設立した高等教育機関。伝統的に皇帝たちが教育を受けてきたため貴族もこぞってアカデミーで子供たちを学ばせた。
卒業した同期たちは互いにつながり支え合う。本来【ラチア】はそのような伝統から一歩引いた立場だった。
ラチア家で初めてアカデミーに入学したユスタフに注目が集まるのは必然だった。
(面倒だ・・・)
帝国には3つの公爵家がある。
氷壁のラチア
白銀のミロ
薔薇のウスラ
中でも最も閉鎖的なのがラチア家だった。
大賢者が眠りし場所
冷たくそびえ立つ氷壁と魔獣
実在する
【扉】
帝国よりも遥かに長い家門の歴史
(・・・そのせいで余計な注目を浴びるのが鬱陶しいな)
ユスタフがランからの手紙を見て笑う。
早く卒業して帰って来て!と書いてあった。
(けれども本当に・・・彼女は本当に当主の座を譲るつもりなのだろうか)
(こっちはロスからの手紙・・・騎士団長を洞窟へ?)
洞窟・・・一体どういうことだ?
それに借金を返す手立てがあるだと?
(まずはランに返事を書かないと)
(あの日あの時を境に変わった。以前の彼女ではない。なぜだ?)
第6話 感想
借金をなんとかしないと結婚させられそうなかんじですね。