第44話 ネタバレ
「ボルシェイク令嬢が破談を申し出た瞬間お前も終わりだと」
偶然、訪ねにきたバレリーが耳にする。
「悪かったな腹が立ったなら一発殴ってもいいけど?」
「いやお前を殴るのは僕じゃなくてバレリーだろ」
バチッ!
「あっ!!イテテッ!何だ今のは?」
「簡単に静電気を起こす魔法です。そっちだって何も言わずに私のことを利用したじゃないですか!文句あります!?」
「殴られる前に心の準備が必要だろ!こう見えても俺は皇太子なんだぞ!?」
ムカッ!
「カイロス!皇太子が私に腹を立てて・・・!」
「バレリーのためなら皇族傷害罪くらい・・・」
「すみません!!バレリー様どうかお許しを!!」
******
「本当に悪かったよ。だけどおかげでピンチをうまく乗り越えられたありがとう」
「領地に原因不明の灰が降る現象が起こるだけじゃなくて焼死体まで見つかったんですって?」
「そうなんだその現象は今も続いていて被害の規模も少しずつ大きくなっている状況だ。だけどこれが貴族たちの耳に入ったら・・・」
「ランが言ってたのはこのことだったんですね」
このことが広まったら王権は弱まりこの機会に私腹を肥やそうとする貴族たちの間で争いが起こるだろう。
誰かがこの事実を他の国に伝え戦争の導火線を作ることになるかもしれない。
ランの危機や・・・
そして新興宗教の出現だって・・・
「困ったことになりましたね」
「どうだ?君も帝国民として何かしなければならないとは思わないか?」
「全然。私はただの一市民ですから」
「ヒーローになってほしいというわけじゃない。ただ・・・契約を提案したいんだ」
「まだ時間はあるから二人ともゆっくり考えてくれ。数か月後に控えてる収穫際のことだが俺の婚約者を選ぶための皇室舞踏会に来てくれないか?」
【皇室舞踏会】
国が主催する三日間の収穫祭のうち初日に行われる舞踏会のことで。その裏では数多くの皇族のロマンスが繰り広げられている。
ここで靴を落とした女性が王妃になったとか。バラ園で密かに出会いを楽しんだなど・・・そのためこのような情報を収集するためや
もしくは皇太子妃の座を狙うためにほとんどの貴族はこの舞踏会に参加しようとするのだ。
「そこで私みたいに平凡の伯爵家の娘が主役になったら・・・」
『身の程知らずなことをすれば死ぬぞ』
先生の言葉を思い出す。
(果てしなく身の程知らずだわ)
だけど、このすべての問題を打破してくれる鍵がある
******
『破談を申し出た瞬間お前も終わりだと』
カイロスが否定しなかったのは皇太子の言ったことが本当だってことよね?
自分もわかってるという様子だったし。
お父様は無口過ぎる方なんだから・・・
それはつまり
破談になれば死に対する全ての可能性が消えるということ。
「バレリー?どうしてこんなところにいるんだ?」
「カイロスこそなんでここに?」
「いろいろ考えながら散歩をしてた隣に行ってもいいか?」
「もちろんです!」
カイロスが隣でモジモジしている。
「?」
「その・・・エドウィンの提案を断ってくれてありがとう」
「はぁ??」
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【回想】
「そこに行って私にどうしろと・・・?」
「その舞踏会に君とカイロスそしてセレニアに参加してもらう」
「??」
「社交界で噂になっている主役たちが注目を集めた後、俺が婚約者候補としてボルシェイク令嬢を選ぶ」
「・・・私を婚約者候補に・・・?でも私はカイロスの・・・」
「それが狙いなんだ!親友の婚約者を欲しがる皇太子。そして何を考えてるのかわからない令嬢!
そしてその親友には微妙な関係の女性がいるようだがおかしなことに婚約者との関係は保っている・・・みたいな?
この状況だけで多くの噂話を作り出せる!」
「何言ってるんですか??」
~回想終了~
「あんな提案誰だって断りますよ!カイロスは自分の婚約者が他の男性と噂になってもいいんですか?」
「よくないとは・・・思ってる」
モジモジしながらカイロスが言う。
「婚約は君が望めばいつでも破棄できるし僕の一方的な気持ちだから。それに僕が口を出すのは出過ぎたことだと思っていた」
「何を・・・!」
バレリーが話を聞きイラッとする。
「・・・そんなわけないでしょう?私はもうそういう類の言葉にはうんざりなんです。そんなの誰が決めたんですか?」
「バレリーが、バレリーが決めることだ。条件も別に悪くはなかった」
******
【回想】
「ただとは言わない話は最後まで聞いてくれ。それで皇宮に来たら魔法使いの作業場に入らせてやる」
第44話 ネタバレ
カイロスはバレリーに尻に敷かれてますねwww