第43話 ネタバレ
「お待ちしておりました!」
(どうして私が・・・出入り禁止じゃなくて招待されちゃったわけ?)
ドウェロ家に着くとビクトールが案内に来てくれた。
「お久しぶりですムレア様。私と一緒に来ていただけますか?セレニア様のところにご案内いたします。ボルシェイク様からのお手紙はご覧になりましたか?」
(あぁ、あれ?)
おかげで我が家は大騒ぎだったわよ。
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【ムレア回想】
父「知ってるか?うちの姫君・・・公爵様の婚約式でボルシェイク公子にひと目ぼれされたらしい!」
母「まぁっ!」
「あの子は君に似て美人だからな~」
(あのチビ何か企んでいるに違いないわ)
「それでなんだが・・・あの公子様を正式に家に招待するのはどうだろう?」
父の言葉に飲み物を吹き出す。
「縁談は無理だとしても友だちとしていい関係を築けるかもしれないだろう?」
「何が友だちよ・・・!」
「だけどそれはもう少し後にしよう!もっと重要な用事ができたんだ!今度はボルシェイク令嬢から招待された」
「はぁ??」
「そこにいるセレニア・ホーウィンがうちに姫君の走る姿にひと目ぼれしたらしい!!」
「縁談は無理だとしても友だちとしていい関係を築けるかもしれないだろう?」
「な・・・何が友だちよ!!」
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(こんなことがあったっけ・・・とにかく会ったらちゃんと断らないと・・・)
「!?」
「な・・・何よ!この殺気は!?」
いきなり木刀が飛んできてムレアが避けた。
「何これっ??」
「やっぱり」
「!!」
「素晴らしい瞬発力ですね。初めてあなたを見たときから絶対にまたお会いしたいと思ってたんです。初めまして」
(何なのこの人!?)
「わ・・・私はっ!!男性が好きなんです!!」
「そうですか心配しないでください」
「!?」
「私がもう男の人なんて思い出せないようにしてあげますから」
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「社交パーティーの場で今いちばん話題になってるのはボルシェイク令嬢だって知ってるか?誰もが彼女を見て【虎の穴に飛び込んだ令嬢】と呼んでいる」
「なぜそんなふうに呼ばれているのか、どうして俺が謝ろうとしてるのか知りたいか?」
「お前も知ってる通り俺は今日の午前中セレニアと一緒に父に会って来ただろ?」
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【皇太子回想】
数時間前、皇宮
「本当なら君を連行したいところだが息子とドウェロ公爵に免じてそれは堪えてやる」
「ありがとうございます陛下」
父はそれっぽい口実を探してセレニアを拘束すればこの事件は解決できるだろうと信じている。
俺がここで何としてもセレニアを守らなければ
「よろしければ焼かれた死体を見せていただけますか?」
「・・・死体を持って来い」
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【セレニアside】
「私がいた世界の人です。体型やこの札に書かれた名前から察して私が知っている異人だと思われます」
『ランこれをあなたの師匠に渡してくれる?』
師匠のことが好きな純朴な村娘だったのに・・・
「君とあの死体に関りがないことを証明できるのかね?」
「父上!」
「私を捕まえても構いませんわ」
「セレニア!!」
「ですがそんなことできるでしょうか?」
「私は帝国最強のライハーツ騎士団の監視のもとドウェロ公爵のお屋敷の中で大人しくしていたのにこのようなことが起きました。
私に調査の指揮権をください。もしも私が拘束されている間に同じような事件が起こったら・・・そして私が愛していた人たちが焼死体になって見つかって・・・
何もできないまま大切な人の死を見ることになったら・・・私はあなたを許しません。
あなたの持つ全兵力にも勝てる私が国家機密であるこの現象を知ったまま他の国に亡命しなければならないでしょうね。
私にはいつでも実行できますからよくお考えください」
「なっなんと無礼な・・・!」
「セレニア!おい!!」
「エドウィン!!あの無礼な女を止めるんだ!ただでさえ領主たちの間で噂が出始めてるというのに。こんな現象が貴族社会全体に知られたら・・・」
「あぁ、それなら問題はありませんよ。今社交界ではゴシップで持ち切りですから。うまく手を回しておきました」
「それはどういうことだ・・・」
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「僕の婚約式でお前がバレリーに気があると匂わせたことか?」
「まぁ・・・そういうことだ」
「お前のとこの年寄りたちのせいでついカッとなって言っちまったんだか・・・意図的ではなかったが二人の立場も考えずに軽々しくでまかせを言ってしまってすまなかった。
貴族たちの関心をゴシップに集めなければと思ったから・・・最近皇室では社交パーティーで人々の気を逸らすために使ういろいろな噂を集めてるんだ。
だからお前も気をつけろ。お前の婚約式の条件も噂になってるぞ。ボルシェイク令嬢が破談を申し出た瞬間お前も終わりだと」
その時
バレリーが訪ねにきていた。
第43話 感想
皇室がゴシップ集めとか悲しくなりますね・・・