第53話 ネタバレ
【ゲシュトの日記】
(ヘンドリック様は塔の最上階で見つかった・・・兄を恨まないでくれと書かれた手紙。あの手紙を読んだ瞬間に見えた光景。
私が見たものが幻でなければあの日の夜ヘンドリック様は陛下と一緒だったに違いない。陛下があのお方の死に関わっているはずだ。私がそれを暴いてみせる。)
塔を調べに入ると中のテーブルから毒の痕跡を見つけた。
(!!)
(毒の痕跡・・・それに酒の匂い?)
テーブルをくまなく調べていたゲシュトはまた過去の光景を目にする。
陛下『乾杯しよう王国の繁栄と私たち兄弟の未来に』
『・・・乾杯』
ヘンドリックは酒を飲んですぐに倒れてしまった。
(やはり・・・ヘンドリック様は・・・!)
しかし証拠がなかった。証拠があったとしても・・・王を相手に私に何ができただろうか。
ヘンドリック様は陛下を恨むなとおっしゃった。・・・しかし私は死ぬまで陛下を許せないことだろう。
******
翌朝
ジンジャー「はい・・・?ホントですか?」
イザナ「ゲシュトの日記にはそう書かれていた・・・もし本当に父上が叔父を殺したのなら大切な弟子を失ったゲシュトが恨みを抱いて当然だ」
ジンジャー「で・・・ですがそれが事実だとしても・・・どうして陛下に呪いを?」
「日記はそこまでだったからそれ以上のことはわからない。ララ、ゲシュトから何か聞いていないか?」
「『賢者の目』では力を覚醒する前の過去を見ることができません。お力になれず申し訳ございません」
「えっ?ちょっと待って。い・・・今の会話・・・ひょっとして・・・」
「・・・はい」
「生姜令嬢も知っていたんだろう?ララがハメル・ブレイだということを」
「へ・・・へへ・・・陛下いつお知りになったんですか?」
「昨日。正確にはおまえが偽のネックレスを持ってきた日・・・?
ネックレスに『HB』と刻まれているし、あのネックレスをつけている人の心が丸見えだったし。ネックレスをすり替えるときララに手伝ってもらったという話を聞きもしやと思ったのさ」
「それじゃ・・・」
(私ってばやらかしたのね・・・!!えっ、それじゃもしや・・・)
押し寄せる赤っ恥のビックウエーブに
「陛下・・・これまでありがとうございました。私は先に逝きます・・・」と窓から去ろうとする。
「生姜!」
「ジンジャー様、落ち着いて!」
「うわ~ん恥ずかしすぎる!あの日の私の心を全部お読みになったってことでしょ!?」
ジンジャーが嘆いていると窓から足を滑らせてしまった。
ツルッ
「えっ?」
「!!」
ドサッ
「!」
イザナが受けとめてくれた。
「今さら恥ずかしがってどうするんだ・・・言っただろうどんなことでもいいからずっと俺のことを考えていろと」
「陛下・・・」
「オッホン、お二人とも・・・私がいるのをお忘れですか」
ビクッ
「片思い中の私の前でひどいです・・・」
「ち・・・違う今のは人命救助だ!」
「そうですよ今のはあくまで人道的な観点で!」
((それよりなんで・・・))
イザナ(言い訳しているんだ?)
ジンジャー(言い訳してるの?)
ハメル「では、とりあえず一度塔に行ってみましょうか。ゲシュト様が塔で手がかりを見つけたように何か出てくるかもしれません」
イザナ「塔の最上階・・・」
(好奇心で何度か上がったことはあるが・・・あそこから外を見下ろすと世界と切り離された孤独感に押し潰されそうになる・・・)
イザナは手にグッと力をこめる。
(もしまたあそこに足を踏み入れれば俺は・・・)
「陛下、大丈夫ですよ。陛下の傍にはいつも・・・私がついてます」
イザナの手にジンジャーが触れる。
「生姜・・・」
ドクンッ
イザナもジンジャーの手をギュッと握った。
第53話 感想
日記が正しければ弟子が陛下によって殺されてしまったようですね・・・それでイザナに呪いをかけたのかな?