第50話 ネタバレ
「かつて同年代のジンジャーをライバル視していたのは事実です。彼女が好きな人を奪ったり幼稚なこともしました。
ですがそれはもう過去のことです。今の私は心から陛下を想っております。
小説の悲惨な結末を知ってもこの想いは変わりません。むしろ・・・陛下の力となって差し上げたいという思いが強くなりました」
「どうかジンジャーではなく私を選んでいただけませんか・・・?」
(ネックレスをつけていないから心も読める。だが・・・)
「ゲシュトが何故俺に呪いをかけたのかそのうち明らかになることだろう。小説でも現実でもそなたはゲシュトの孫だという理由で巻き込まれただけだ。
その点は哀れに思うが俺の心はすでに・・・」
「ということは・・・陛下はジンジャーを・・・」
「俺には少し特別な生姜がいる。俺の答えは以上だ」
「・・・ジンジャーも陛下と同じ気持ちでしょうか?」
「えっ?」
「この間ノックス伯爵邸で陛下もご覧になったはずです。陛下の補佐官とジンジャーが二人でいるところをあの二人何かありそうですよ。
もしかするとジンジャーの心にはすでに別の誰かが・・・」
「・・・・・・」
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「こんな時間までありがとうございました。お送りします。」
ハメルが言うとジンジャーは歩いていた足を止めた。
「ジンジャー様・・・?」
「ハメルさっきは驚いて何も言えなかったけど・・・ありがとうございます。ハメルの想いがしっかり伝わってきました」
「それならよかったです。実は怖かったのです・・・」
「えっ?」
「この間までレラジエ様が好きだったのにジンジャー様に心変わりしてしまいましたので軽い男だと思われるのではないかと・・・
あっもちろんジンジャー様はそのようにお考えになるようなお方ではありませんが」
「人の心って移り変わるものですよ。結果的に今は私のことが好きなんですよね?」
「はい」
「私は疑ってなんかいません。でも・・・」
「私はイザナ陛下が好きなんです」
「傷つけたらごめんなさい。こういうことははっきりさせとかないといけないから・・・」
(期待させてしまえばそれこそハメルを傷つけることになる・・・心は痛いけどちゃんと伝えておかないとね」
「・・・わかっています」
「それでも・・・私がジンジャー様を想う気持ちは変わりません」
「それに辛くもありませんよ。たとえ片思いでもジンジャー様を好きでいるのが幸せなのです」
(愛する人の幸せを願うことも愛だなんてきれいごとだ。『幽閉された王子と侯爵令嬢』に出てくるハメルの恋をそんな風に思ってた。
でも・・・これはハメルの哲学だったんだ。恋は実らせるためだけにあるんじゃなくて愛する人を見守るのも愛なんだね・・・)
******
イザナは馬車の中で真っ赤になっていた。
(おい俺・・・特別な生姜ってなんだよ・・・
だが呪いが解けないまま彼女との関係が進展すれば・・・いつか読みたくない彼女の心が読めてしまう日も来ることだろう。
父上のようにジンジャーにまで避けられたら?彼女にまで怖がられたらそのときは・・・このままジンジャーとララが結ばれた方がいいのでは・・・)
(んっ?あれは・・・)
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「それでは・・・帰りましょうか」
「はい」
「そこの二人」
「「へ・・・陛下!?」」
「こんな時間までここで二人で何しているんだ?」
ハメルの心の声『・・・振り向かせてみせると申し上げたはずです』
「二人ともスト~ップ!!二人で熱くならないでください!」
メラメラと熱くなる2人をジンジャーが止めた。
「ほらほらもう暗いから話があるなら馬車の中で」
「まさか・・・デートの邪魔だったか?」
「い・・・いえこれは」
「だとすればどうされるおつもりですか」
(ハメル!?)
「・・・・・・まぁいい二人の私生活にまで言及したくはない」
「あっ・・・」
「私生活を満喫中に申し訳ないがララ今から宮殿に来てくれ」
「ゲシュトと呪いに関する手がかりが見つかった」
第50話 感想
今回はイザナが嫉妬していました。2人がくっつくのも時間の問題ですかねwww次回は日記の内容が分かりそうな感じでした。