第50話 ネタバレ
【エウレディアンside】
(グルカマン三国協定・・・彼らとの神経戦も終盤に入ったな。本当はここまで強硬に対応するつもりはなかった。ルボブニに奇襲攻撃を仕掛け同盟協定を一度破ってしまったから・・・)
「・・・あの時我慢するべきだった」
(いや・・・少なくとも姫を拉致するべきではなかった。あの時ルボブニの要求を呑んでいたらアゼキエヌが条件の引き上げを迫ってくることもなかっただろう。
そしたら姫がベルゴットで危険な目に遭うことも・・・こんなにもソルレア・エルラドに悩まされることもなかっただろう。
だがそれにも関わらず・・・彼女に出会えたことにほっとするとは・・・とにかくこれ以上この件に頭を悩まされたくないし悩んでいる余裕もない)
「これよりも重要な問題が残っているから・・・ベルゴットの地で生意気なことを口にしたら・・・」
(大陸征服を夢見たことはないが一度試してみるのも悪くないだろう)
(・・・そろそろあの女が来る頃だな)
「陛下エルラド嬢が到着しました」
「通しなさい」
エルラドが執務室に入った。
「陛下」
「久しぶりだなエルラド嬢」
「ご招待いただいて嬉しかったです。一生呼んでいただけないと思っていたので・・・数日前から私をお探しになったとお聞きしましたが」
「ああ・・・そなたは用事がない時はよく現れるが用事がある時にはなかなか現れないな」
「忙しかったもので・・・どうかお許しください」
「さあ・・・許しを請うべき問題は他にあると思うが」
「あら・・・どんな問題でしょうか」
「数週間前・・・そなたベルック宮殿の前にいるのを見かけた」
「まあ!私のことをそんなに気にかけてくださっていたのですか?」
「まだ話の途中だ。ベルック宮殿に大したことをしてくれたな」
「この私の宮殿で私が禁じた魔法を私が守っている人に・・・この件について私がどう判断すべきかそなたの口から説明してもらおう」
「陛下はいつも私を疑っていらしたではありませんか。常に警戒し退けられた。でも一度もこの私を阻止されたことはありませんわ。今だって方法を間違っていらっしゃる・・・
私が邪悪な魔法士だという確信をお持ちならこうやって皇城に呼ばずに逮捕令を出して死刑台に送られたはず・・・
でもそうされずに私を呼ばれた理由はまだ確信がないから・・・違いますか?私が陛下の国にプラスになるかマイナスになるか迷っていらっしゃるのでしょうね」
「プラス・・・か・・・さすが魔塔の権力者・・・自信に満ちているな」
「だから私をそばに置かれているのでは?」
「おっしゃる通り私は魔塔の権力者でありベルゴットの魔法士たちの統率者ですもの」
「年老いた私の師匠が死んだらベルゴットの魔法界の権力は私のものになるでしょう。しかしどうも気になりますわ。
あなたのその態度が・・・
私があの姫に害を与えていなかったら陛下がこんなにも敏感に反応していたでしょうか?陛下・・・私は陛下をよく把握しているのですよ。
あなたのそばにいた時間が思った以上に長いので・・・あなたは私が暗黒の魔法士であると確信したなら迷わず私を死刑台に送ったでしょう。
いつもの陛下なら・・・」
「何がそんなに怖いのですか?」
(何が怖い?)
「・・・そうだな帝国の主人である以上・・・何も恐れてはいけないと思っていた。だが今はそなたが後先考えずにやりかねないことを想像しただけで不安になってしまう」
「私が暗黒の魔法士である確たる証拠はございますか?」
「ふっ陛下には切り札が残っていないようですわね。残っているのは弱点だけ・・・陛下は私に勝てませんわ。
今回の件でお分かりになったのでは?可愛らしい姫に手を出すのは簡単なことなんですよ。もちろん私が本当に暗黒の魔法士だった時の話ですけどね」
「それで・・・何が望みだ?」
「だから陛下・・・私に首輪をつけてくれませんか?予定通り私と結婚してください」
「そしたら陛下の国と陛下の姫に何の害も及ばないはずです」
丁度その時、エウレディアンに会いに来ていたエレニカはドア一枚隔てて聞いてしまった。
(え・・・?一体どういうこと?)
第50話 感想
やばいですね・・・せっかくエルラドとの結婚を阻止できたと思ったのに逆に利用されてしまったようです。