第43話 ネタバレ
「お誕生日パーティーを前回よりも少人数で開かれたいのですか?」
「よろしくね」
「ミエールお嬢様のお誕生日には今回公女様も参加されるそうで盛大に祝われるようなのですが・・・本当に少人数でいいんですか?」
「だから少人数がいいのよ」
「え?」
「公女が来るということは何か理由があるはずだわ。私はわざわざ目立つようなことはしたくないの。それにサラも忙しくてすぐに帰ると言っていたわ」
(サラ・・・私は彼女を生き残るために利用した。余計な感情に振り回されてはいけない)
(私はただ悪女であることを周囲に隠しながらこの世界で生きていくの)
******
「匿名で花束とプレゼントが届きました」
「・・・・・・」
「匿名でもバレバレよ」
いつものチューリップにアリアは笑う。
アリアの誕生日は静かに過ぎ去りあっという間にミエールの誕生日がきた。
「今年も相変わらずね。場違いであることに気づきなさいよ」
「あの売春婦の娘?」
「そうそう。生きる価値のない人っているのよね~」
招待客たちの言葉にアニーはムカついていた。
「あの人たち本当に失礼じゃないですか!?部屋に戻りましょう!」
「彼女たちは招待されて来てるのよ。勝手に言わせておけばいいわ」
(公女は一体なにをするつもりなのかしら?何を企んでいるのかこの目で確かめたい)
「お嬢様がいらっしゃいました!」
「お2人とてもお似合いです~」
ミエールの隣にオスカーが並んで登場した。
(オスカーが来ることはわかっていた)
「まあ・・・公爵夫人もいらっしゃいます」
「まさかここでお目にかかるとは・・・」
(えっ!?どうして公爵夫人まで来てるの!?)
「本日はお集りいただきありがとうございます。私から皆様にお伝えしたいことがございます」と公女が言う。
(まさか・・・それだけはダメ・・・!!)
「皆様もご存知かと思いますが2人は現在お互いに好意を抱いております。ミエールお嬢様が成人になり次第2人は婚約をすることが決定しました。その際には改めてお祝いの場を設けたいと考えております」
(オスカーのことは正直もう諦めようと思っていた。だけどもしも・・・オスカーが私を選んでくれたら・・・!)
アリアはその場を駆けだす。
「お嬢様・・・!」
******
「アニーしばらく1人にさせて」
「・・・はい」
パタンと扉が閉まった。
「・・・・・・」
(別にオスカーに好意を抱いているわけじゃない。ただ・・・ミエールを一番苦しめられる方法がオスカーを私のものにすることだったから)
(今はただ彼女を苦しめることができなかったことが悔しい。私がいくら頑張っても手に入らないものはある。私は今まで日々の不安を必死に隠し続けてきた)
アリアが落ち込んでいるとプレゼントを見つける。
(どうしてここに・・・?)
箱を開けるとオスカーに渡したブローチの色違いが入っていた。
(これはオスカーに渡したやつ・・・はぁ・・・あなたはいつも・・・自分からは動かずに遠回しに思いを伝えるのね。私にそれを理解しろっていうわけ!?)
アリアはブローチを投げようとした。しかし、貰ったチューリップを目にして思いとどまる。
「・・・・・・」
(落ちついて私はもうあの時のアリアじゃない。ここで得たものはたくさんあるんだし。今の生き方を否定してはダメよね。いますぐ行動を起こすことはできないけど・・・
時間はまだ残っているから。それまでにできることはやってみよう。何もせずに殺されたらそこでおしまいだから)
(私は絶対に諦めない。見てなさいミエール)
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「婚約はやはりイシース様のご結婚の後にしたほうがよろしいかと」
「そうだな。皇太子もしっかりしてもらわないと。いまだに砂糖や蜂蜜の品薄状態が続いている・・・このままで結婚なんかできるのか?」
「公女殿下が何かしら行動されると思います」
母はアリアの顔色を伺いながら「皇太子妃や殿下もいらっしゃるしほかの貴族もたくさん来られるわよね?オスカー様のお友達とか・・・」
「かなり上流階級の方々がいらっしゃると思います。こちらもそれなりの対応をしなければなりません」
「ドレスも新調したほうがよさそうね。デザイナーを探したほうが早いかしら?」とアリアの母が言う。
「え・・・公爵家では代々記念式典用のドレスを直して着用しています。伯爵家にきて数年が経つのにこんなことも知らないのですね・・・」とミエールがこたえた。
「そうなのね・・・」
アリア「きっと帝国一美しい新婦だと思うわ」
ミエール「ありがとうございます」
アリア「そうそう・・・このブローチどうかしら?あなたがオスカー様からもらったものと似てると思わない?」
(真っ赤なバラ模様にあのデザイン・・・ウソよ・・・)
「綺麗ね~誰からもらったの?」と母は尋ねる。
「それがわからなくて・・・ミエールの誕生日に私の部屋の前においてありました。真っ赤なバラ模様だなんて・・・公爵家の家紋のようじゃない?ミエール?」
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バンッ
ミエールは部屋で時計を投げつけた。
「はあはあ・・・」
「お嬢様・・・」
「あの悪魔・・・なにがしたいのよ!私を怒らせるなんて・・・絶対に許さない・・・!オスカーは私のものよ!」
その頃アリアはフッと笑いブローチをわざと落とした。
第43話 感想
ミエールとオスカーの婚約発表をされてしまったアリアでしたがミエールに一泡ふかせることができたようです。