第40話 ネタバレ
「お嬢様聞いてください。カフェの主人30倍で売ったそうですよ。お嬢様が売ったほうがよかったのでは!?」とアニーが小声で報告した。
「目立ちたくないからこうしたのよ。それから投資というものは欲張りすぎてはいけないのよ。なるべく負担をかけずに分散投資したいのよ」
「なるほど・・・」
「それとベリー、いつになれば私の好みの濃さで作ってくれるのかしら?あとこのクッキーは何のために持ってきたの?」
「その・・・お砂糖の価格が上がってしまって・・・」
「私がそれを知らないとでも思ってるの?だからって味のしないものを持ってこないでちょうだい」
「ですが・・・」
「ないなら代わりのものを用意すればいいじゃない?」
「あなたが嫌いなわけではないけどいつまで経っても仕事ができないから言ってるのよ」
「・・・・・・」
「そうそう!味に変化を加えてみたり~!ねっ?」
アニーもアリアに賛同する。
「!」
(でも今ははちみつとかも価格が高騰してるんだった。以前は食べ物がマズすぎて大騒ぎした時に代わりに何か買ったんだけど・・・)
(そうだ香油を買ったんだ!)
(香りを楽しめると一時期流行っていた。あの時たしかボ・・・ブーン男爵のお店で買ったはず・・・?)
「まあ、いいわ。あなたは階段を掃除してきて。ホコリが残っていたわよ」
「はいっ!」
******
(たしかあの時人気があったのはほかの貴族が販売していた香油だったはず。どうして私はボブーン男爵のところで買ったのかしら?
そうだ
男爵は当時香油で事業をしていたけれど資本金も少なく小規模だった。それで他の貴族に奪われたんだっけ。
私は流行が始まってすぐに買いに行ったから男爵の香油を手に入れることができた。)
(ボブーン男爵あなたにチャンスを与えるわ。あなたはうまく活用できるかしら?)
アリアはボブーン男爵宛に手紙を書いた。
******
(最近客が増えたと思ったら・・・砂糖の供給不足が影響していたのか。
この方は投資する代わりに収益の30%を求めている。こちらからすればありがたい話だ。今後の動きは読めないものだがこれほど巨額の投資をされるとは)
ボブーン男爵は投資者Aと名乗るアリアからの手紙を見て思う。
******
数週間後
「お嬢様、お手紙と小包が届きました」
「ありがとう」
(男爵ったら話が早いんだから!意外と仕事ができるのね?ありがたいわ)
手紙には感謝の言葉とプレゼントを受け取ってほしいとあった。
「お嬢様こちら・・・ネクタイです。何かの間違いでしょうか?」
「本当ね・・・」
(さすが男爵・・・私を男だと思ってるのね)
「香水ですか?とってもいい匂いします」とアニーが箱の匂いをかぐ。
「本当にいい香りですね」
(さてと、どうしようかしら・・・できれば会いたくないけれどこのままではいられない)
「アニーちょっとお出かけしたいんだけど」
「はいっ!どちらに行かれますか?」
「まずは・・・ドレスを見に行くわ」
******
アリアは貰ったネクタイをつけ一見、男性にも見える服装でボブーン男爵のお店に入った。
(悪くなさそうね。雰囲気もいい感じ)
「いらっしゃいませ。プレゼント用の香油をお探しでしょうか?プレゼント用でしたらこちらにござ・・・」
「違います。ボブーン男爵に会いに来ました」とアリアは帽子を外して言う。
******
「はじめましてボブーン男爵」
「は・・・はじめまして!」
ボブーン男爵はアリアの容姿に見とれる。
「私が誰かご存知ですか?」
「失礼ですがお名前をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
(本当にわかってないようね・・・そんなにヘラヘラして)
(派手な服装だしどこかの貴族だと思ってるでしょう・・・)
「私はロースチェント・アリアと申します。お渡ししたいものがあって参りました」
「ロースチェント!?」
(ってことは彼女はまだ15歳・・・!?)
「失礼いたしました!」
「なにがですか?」
「さっきから顔が赤いと思ったら・・・未成年の子に見惚れてしまって罪悪感を感じているのね)
「質問があるのですが。新しい戦略についてはもうお考えですか?」
「えっ?」
「香油は生活必需品ではありませんので流行はそれほど長く続くとは思いません」
(長続きすると知ってて投資したけどね。これは秘密)
「すでに満足されているかもしれませんが・・・」
「考えてます。ここで終わらせてはもったいない。実は濃度を薄めた香油を庶民を対象に安値で販売しようと計画しています。
もうしばらくは貴族用の商品に力を注ぎたいと思っておりますが・・・庶民は貴族の生活に憧れを抱いているため売れると信じております。そうすれば今後も事業を続けられるかと・・・」
「なるほどいいアイデアだと思います」
(投資者としてこの人を選んで正解だわ)
「でも初対面の私にそんなお話していいんですか?」
「あっ、いや・・・なぜだかお嬢様に信頼感を抱いてしまい・・・口が滑ってしまいました」
「信頼感ですか?」
「実は・・・ここまで成長できたのは匿名で投資してくださった方のおかげなんです。その方と被せてしまったのかもしれません。
あぁっ!もちろん見ず知らずの男性とこんなにお美しいお嬢様を一緒にして失礼なのは承知しております・・・すみません」
アリアはネクタイを外した。
「そう考えられては私も困ります」
「あっ申し訳・・・」
「このネクタイどうにか合わせようとしてみましたが私にはサイズが大きくて・・・」
アリアが外したネクタイをボブーン男爵の首に巻き付けた。真っ赤になって驚く男爵。
「まあ!ピッタリですね」
「あれ?このネクタイは・・・確か・・・」
「お気持ちはありがたいのですがそちらはお返しいたします」
(!?)
第40話ネタバレ
ボブーン男爵、かなり驚いていました。まぁ、大金を動かしていたらこの世界の人なら男性だと思ってしまいそうですね。