第28話ネタバレ
【ムレアside 過去】
衝撃的な出会いの後も私はしばしばお父様と一緒にドウェロ家に遊びに行った。
「カイロスお兄様!お兄様のために裏山からクマの形の岩を持って来ましたよ!私と結婚してください!」
「断る。もしかして裏山から担いで来たのか?・・・君は本当に眩しいほどの才能を持ってるんだな」
ドッキーン!
「この怪力は私の才能・・・眩しいですって?」
ドキドキ・・・
いつもお父様とお母様にはレディは力なんて強くなくていいんだと口うるさく言われてた。カイロスお兄様は私の真価を認めてくれる唯一の人だった。
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【現在】
(でもそんなの今さら何の意味もない。もう全部ダメになったんだから!!)
セレニアとメイドが庭を歩いていた。そこへ、ムレアが勢いよく駆け出していく。
「あ!」
「うわぁっ!いっ今のは何なんでしょうか?まさか山から獣が?」とメイドが驚きセレニアは「あら見えなかったの?ドレスを着た女性だったわ」と話す。
「ええっ??何てこと!」
「そうねなんてことでしょうドレスを着たご令嬢が・・・動体視力を訓練された者にしか見えないようなスピードで走るなんて千年に一度しか出てこないような武術の才能を持った人材にこんなところで会えるなんて」
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【バレリーside】
「テーブルとドアが粉々になっちゃうなんて・・・本当に僕には手加減してくれたんだね・・・」とマーシャルが言う。
(テーブルを壊したからもっと暴れるのかとビビったけど・・・)
「思ったより悪い人じゃなさそうね。あなたが無事でよかったわ」
「ドウェロ公爵様が代わりにお茶をかぶってくれたからだよ。僕のせいで哀れなお姿になってしまって・・・すみません」
「ああ大丈夫だ。濡れた服を着替えればいいだけのことだ」とカイロスは言う。
カイロスの方をチラ見したバレリーは(・・・あ、そういえば・・・)と思い出した。
(哀れなお姿・・・)と考え込むカイロス。
「ボルシェイク公子私と一緒に宴会場に戻りませんか?おいしいクッキーを差し上げましょう」とビクトール補佐官が誘う。
「子ども扱いしないでください・・・そんなこと言われなくてももう行きますから。空気の読めない子どもじゃないんですから」
「マーシャル??」
「お二人だけで話し合ってください。これも直接お渡しになって!」
「ありがとうでは後で」
(そういえばこの人さっきあり得ないことを言ったじゃない!!)
「あなたに話したいことがたくさんある。あ・・・だがその前に」
「?」
「とりあえずドレスの裾をまくってくれないか?」と話しカイロスはバレリを椅子に腰かけさせた。
「いったい何を・・・」と戸惑うバレリーとその場にしゃがむカイロス。
「バレリ・・・足を上げて」
「な・・・何すんのよ!!」
バレリーはスコーン!と履いていた靴をカイロスの頭に飛ばす。
「楽な靴に履き替えるなら・・・」
「靴が何なのよ??」
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「靴が足に合わなくて痛いというからヒールの低い楽な靴を履かせてあげようと思ったんだ」
カイロスは正座をしながらシュンっとした様子で話す。
「もしかして私が足が痛いと言ったからわざわざ新しい靴を持ってきたんですか?」
「そうだ」
「だからって何の説明もなくいきなり靴を履かせたりします??ドレスの裾をどうしろって?自分で履けますからっ!!」
「ロマンス小説では男が静かに靴を履かせてたから・・・ドレスが長いからまくらなきゃいけないと思ったんだ驚かせたなら謝る」
ションボリ・・・とした顔のカイロス。
「あなたは親切に僕の世話を焼いてくれて口では僕の味方だと言いながらも実際には僕のことをかなり警戒しているようだ」
(あっ矛盾してた)とバレリーは気づく。
「その・・・これからは警戒なんてしませんから」
「そういう態度は生存するためにとても適切な姿勢だもし野生の動物に生まれたなら生き残るためにもっとも重要なことだから改める必要はない」
「皮肉じゃないですよね?初めて聞く言葉です」
生存、死を避けること
「・・・・・・」
「自分に好意を寄せてくれる人に壁を作る態度が本当に生存に役立つのでしょうか?」
「どんなものでも警戒してかかる態度は万が一危険な状況に直面したとき一つの盾になるたとえ平和な世界でも注意深く行動することは悪いことではない。初めてあなたに会った時、全く予想のできない行動をとる姿を見て不思議に思ったが
あなたと一緒にいればいるほどあなたは何かに追われてるのでないかと思うようになった」
「私は・・・」
「態度を改めなければならないのは僕の方だ。僕はこれからはあなたの信頼を得たいと思っている。そのために努力するつもりだあなたが好きだから」
第28話 感想
ロマンス小説を参考にするとこうなるんですねwwwカイロスの行動が面白すぎる・・・