第19話 ネタバレ
「今日はどのようなご用件ですか?オスカー様」
「ミエールお嬢様・・・」
「お待ちのあいだこちらにいてもよろしいですか?」
ニコッと微笑んで尋ねるミエールにオスカーは「もちろんです」と了承した。
「お姉様は準備に時間がかかると思います。けっこう・・・お疲れのようですね」
「ちょうど試験期間なのでバタバタしていました」
「忙しいのにこんな平日にどうされたんですか?」
「あっ・・・ちょっと用事があって」
(アリアなんかに純白の花をプレゼントするのね・・・あんな人に渡したって意味ないのに!)
「誕生日に招待されたのですね・・・私にはなにも言ってくれなくて」
「・・・えっ?」
「プレゼントだけ渡しました。私の体調が悪くて誘えなかったと言ってはいるけど正直悲しかったです」
ミエールはオスカーにため息をつきながら嫌われてるかも・・・と言う。ミエールの言葉にアリアから知らされてなかったオスカーは誕生日だったのか・・・?と思った。
「私の誕生日にも来ていただけませんか?ちょうど試験も終わって時間に余裕もあるかと思います。毎回プレゼントだけだったので・・・今日みたいに時間を作って来てくださると私すごく嬉しいです」
(婚約の話が出ているのに断るなんてできないな・・・)
「わかりました予定を合わせます」
「まぁ嬉しい!それでは招待状を送りますね」
着替えのために一歩遅れてしまったアリアは部屋の外からその話を聞くことになった。
「お姉様がきたので私は抜けます」
「はいまた今度・・・」
ミエールはアリアとすれ違う時にクスッと笑う。
「お待たせいたしました」と話すアリアにオスカーは「大丈夫ですよミエールお嬢様とお話していました」と言う。
(なにを話してたのよ・・・オスカー好みのドレスに着替えるあいだに先手を打たれたわね)
「そうでしたかオスカー様はお元気でしたか?」
「はいお嬢様は・・・」
「私も元気です。そういえばオスカー様から頂いたヘアピンをつけてみたのですが・・・どうですか?」
サラッとした髪にオスカーが送ったヘアピンを付けて尋ねるアリアにオスカーは頬を赤く染めて「あ・・・とてもお似合いです」とこたえた。
「あの・・・ブローチお気に召さないのでは・・・?」
「そんなことありませんとても高価だったので・・・手紙でお返事ができなかっただけです。僕にプレゼントをしてくださった方は初めてだったので・・・」
(正確には外部の人からはだけどまぁいいわ)
「私もこんなものでよかったのか心配していました」
「初めてですか?」
「はい・・・受けとっていただけたら嬉しいです。ブローチが似合うか分からなくて・・・」
「今日持ってきたんです」
(返すつもり!?)
「では私がつけて差しあげます」
「・・・・・・わかりました」
オスカーにブローチを付けるアリア。オスカーは返そうと思ったのにこうなるとは・・・と困った様子で頬を染めていた。
「とてもお似合いですよオスカー様」
「ありがとうございます・・・今日が誕生日だとお聞きしました」
「はいパーティーが終わってゆっくりしていたので準備に時間がかかってしまいました・・・」ペコっと頭を下げるアリアに「どうかお気になさらずよろしければこちらをどうぞ」と花束を差し出した。
「まぁ!こんなにきれいな花束をありがとうございます!」と喜ぶ。
「誕生日とは知らずプレゼントの用事ができませんでした・・・」と思い悩むオスカーに「これだけで充分ですよ」フフッと笑うアリア。
「もしよろしければ・・・私の文通友達になってくれませんか?」
「文通・・・」
「友達がいなくて寂しいんです・・・もちろん身分が低い私がいけないのですが・・・
「そんなことございません。でも・・・」
(断らないと婚約の話が出ているのにほかの女性と関わることはできない。ここで丁重にお断りしてこれ以上は関われないとはっきり伝えないと・・・)
「やっぱり・・・無理ですよねミエールだって嫌がりますよね・・・こんなこと言ってすみません迷惑かけるつもりじゃなかったんです・・・」
少し俯き目を潤ませるアリアにオスカーは困った様子で諦め「文通・・・しましょう」と言う。「本当ですか?」オスカーの言葉を聞き喜ぶアリア。
「友達同士でやりとりする分には問題ないでしょう。座ってください」とオスカーはアリアに席をすすめる。
「オスカー様ありがとうございます!」
(これくらいはいいだろう・・・あのまま放っておけなかった・・・)
******
あくびをしながら目が覚めたアリア。
(砂時計を使ってなかったら断られるところだった。ミエールに使わなくてよかったわ・・・砂時計を有効に使うために時間を合わせたほうがいいわね。ぴったり5分測れる時計とか・・・?)
「起きられたんですね?昼食をご用意いたしますか?」
「そうねお願い」
「今日もぐっすりと眠られていたのでどこか具合が悪いのかと心配しました・・・」
「どこも悪くないわきっと昨日のパーティーのせいね」
「すぐに終えられたので・・・やはり体力が落ちたのでは?丸一日寝てましたよ。医者をお呼びしたほうが・・・!」
「大丈夫!」
「このまえ『これを使ったら寿命が縮まる感じが・・・』っておっしゃってましたよね」
(それはテストして時間の計算を間違えたとき・・・)
「なにか問題があるのでは・・・?」
「ないってば~!」やっぱ時計を作ろうと思ったアリア。
「やはりお医者様に・・・」
(まったく・・・ジェシーには頑固な一面があるからね。ムカついて舌を切ったんだっけ・・・以前の私ったらひどいわね・・・
それもあるけど・・・最近いろいろと気にかけてくるのよね私がそう感じているだけかもしれないけどなにかご褒美でもあげようかな。待って・・・すっかり忘れてたそろそろ次の段階に進もうかしら)
「ジェシー」アリアはベッドからおりてジェシーに近寄る。アリアに呼ばれて振り向くジェシー。アリアは壁に左手を付けておいつめる。
「どうしてそんなに驚くの?」
「急に・・・現れたので・・・」
「なにもしないわよ?」
ニコニコと追いつめるアリアにジェシーは頬を染て顔をそらして困った様子だった。
(過去に私からいじめを受けてまだビビってるのね。こんな反応されちゃ本当にいじめたくなるじゃない・・・)
アリアはフッと笑い話す。
「ジェシーあなたが思うより・・・私はあなたのことが気にいっているわ」
「えっ・・・お嬢様・・・?」
第19話 感想
今回はミエールに先をこされた感じですね。しかし、贈ったブローチが返されずにすみ、しかも文通も約束できたので成果はあったようでした。