第44話 ネタバレ
【ミエールside】
「お怪我はされていませんか?」
「大丈夫・・・それより新しい侍女はどう?」
「それがあまり上手くいっていない様です」
「こうなったら公女殿下に手紙を書くしかないわね」
「ですが既に婚約発表の件で何度もやりとりなさっていましたよね?もう少し時間を空けたほうがよろしいかと・・・」
「うーん・・・気にいらない・・・」
「指輪も頂けたんですしオスカー様を信じて待ちましょう」
「もちろん信じてはいるけど邪魔者がいるから困ってるのよ」
「その件は私がなんとかしてみます」
「なにかいい方法でもあるの?」
「害虫を駆除するには殺虫剤が効果的かと・・・馬車にまいておきましょうか?」
「でも前に卸者が解雇されたから誰も引き受けてくれないわよ」
「大丈夫です私にお任せください。お嬢様は公爵夫人になることだけをお考えください」
「そうね・・・そうよね・・・将来公爵夫人になるのはこの私だもの」
「そういえば最近急激に勢力を伸ばしはじめた貴族がいるそうですよ。若年層の方が多くみられかなりの確率で成功しているんだとか」
「それ私も聞いたわ」
「事業を拡大するには人脈も広げなければなりません。伯爵が手を貸すと言えば大勢の方が集まるでしょう。そうすれば貴族派の問題も解決できるかもしれません。お嬢様や公女殿下にとってチャンスではないでしょうか?」
「たしかに!全く思いつかなかったわ。早いほうがよさそうね。さっそく日程を決めてもらえる?」
「かしこまりました」
******
【アリアside】
「『また』来たの?」
「『また』です。ミエールお嬢様が今日も・・・下級貴族や平民の奥さんを招待してパーティを開いてます!」
(貴族の中でも上流階級の人しか会わなかったミエールが・・・?)
「どんな話をしていたかわかる?」
「旦那さんの事業についてだと思うんですが・・・正直あまり聞こえなかったです」
(過去ではこんなこと起こらなかった)
「こうなったら仕方ないわね・・・」
******
「初めましてお客様がいらっしゃると聞いて挨拶に参りました。楽しそうな集まりですね~」
(この目で確かめてやる!)
「アリアお姉様・・・」
「まあ、アリアお嬢様はじめまして」
「皆さまはじめまして。よろしければ私も同席してよろしいですか?」
「お嬢様が・・・?」
(噂の悪女!)
(歯並びが悪いと聞いたけど実際はどうだろう?)
(実物を拝見できるなんて!)
「「「もちろんです!」」」
(私に興味を持ってくれるのは嬉しいけど平民も混ざってるからマナーがなってないわね。ミエールの意見をまったく聞いていない)
「自己紹介いたします。私はクリーン男爵の妻・・・」
(あれ?)
「えっと、私は・・・」
「それから私は・・・」
(どういうこと?全員私が投資した家門の奥さま方なんだけど・・・?)
(そういえば、事業家たちに定期的に交流の場を設けるべきだと伝えたんだった。交流を深めてもらったほうが今後の取引にも役に立つ。
正直ここまで距離が縮まっているとは思わなかったけど・・・わざわざこの人たちを呼ぶなんて・・・ミエールはなにを考えているのかしら?)
「投資者が・・・事業計画書だけを見て投資してくださったんです」
「今回も計画書1つで投資を決意されたのですね!」
「だからと言って適当に選んでるわけでもないそうですよ」
「その方から投資を受けた事業家はみな成功しているそうですよ!」
「私たちも含めて~」
「私も一度お会いしてみたいです・・・」とミエールが言う。
「クリーン男爵は香辛料で事業を始められるのですよね?」
アリアが尋ねた。
「まだ市販されていないのによくご存知で?」
「調べものをしている時にたまたまみかけました。貴族のみが使用している香辛料を別ルートで輸入されたそうですね。価格が下がれば庶民の方にたくさん買っていただけると思います!」
「そう言っていただけて光栄です」
「投資者も同じことを言ってくださいました」
「成功は確実ですね!私ももっと頑張ります!」
「商売が安定するまでは休んでいられませんからね!」
「夫人・・・休んでいられないとは・・・?」とミエールが尋ねる。
「旦那が営業に出て私は在庫の管理や会計を担当しているんです」
「どうして夫人が・・・代わりの人を雇用されないのですか?」
「2人で1から始めた商売なのでもうしばらくは夫のサポートを続けたいと思っています。私自身この仕事を楽しいと思っているので問題ありません」
「ダメですよ。家門を守ることが夫人の役目です」
「そう?旦那様のサポートをされるなんて素敵じゃない!そのほうが男爵だって仕事に没頭できると思うわ」
「そうですね~やはりお金も関わってくるので・・・それでもいずれは誰かにお願いすることになるかと思います」
「夫人のやるべきことはほかにありますからね。夫人である以上家門を守ることが第一の役目です」
「家門の勢力があがったのは夫人の協力があったからよ」
ミエールとアリアがいがみ合う。
「お2人ともアドバイスありがとうございます!もうしばらく夫のサポートを続けたら私は家門を守ることに専念いたします」
「家門を統率するにあたってやるべき事は山ほどあるので夫人はとても重要な役割を担っているんですよ。皆さま・・・次の集まりにも参加されませんか?ほかの方も是非ご参加ください。次回は私の知り合いを紹介いたします」
ミエールの言葉に周りがシーンとする。
「知り合い?」
「公爵家とか・・・?」
「えっ・・・」
夫人たちは困惑した。
「それとこちらは記念にお持ちください」
(バラ模様のクリスタルブローチ・・・!)
(ユリじゃなくてバラを選ぶのね。自分はもう公爵夫人だと勘違いしているのかしら?)
(もしかして私を真似てブローチを用意したの?)
「あの・・・こちらはさすがに受け取れませんこの集まりに参加できただけで充分です」
「私も・・・」
「私もちょっと・・・」
「実は今日仕事を抜けて参加したので次回はちょっと・・・」
「私なんかとお話されても時間の無駄かと・・・」
「ではもうこんな集まりやめましょう」
「えっ・・・」
「気分が悪いので私はさきに失礼します。このような集まりは今後開かないのでご安心ください」
ミエールは招待客全員に断られムスッと怒りその場を去ってしまった。
「気分を害されてましたよね?」
「どうしましょう・・・」
(フフッ、ここは私が・・・)
「よろしければ次回は私が主催してもよろしいですか?皆さまと楽しい時間を過ごせたので是非またお会いしたいです」とアリアが今度は誘った。
しかし
「ああっ・・・また集まります?」
(うーん・・・反応があまりよくなかった)
「アリアお嬢様、よろしければ私たちの集まりに参加されませんか?」
「えっ・・・?私が・・・ですか?」
第44話 感想
ミエールは下級貴族の方や平民の奥さんを招待してパーティーを開きましたが上手くいかなかったようです。そしてアリアは大胆にもそのパーティーに顔を出し逆に集まりに招待されるとは・・・