第57話 ネタバレ
【エレニカside】
アイベン伯爵夫人「今日は陛下が来られなかったようですね」
エレニカ「2日前に来たから・・・多分明日来ると思います」
あの日以来エウレディアンは3日に一回のペースで神殿に来るようになった。
特に用件があるわけでもないのに・・・
そしてなぜかわたしがルボブニに帰ることについては触れようとしなかった。
皇城を後にした時まさか神殿まで会いに来てくれるとは思ってもいなかったからベルゴットでの時間があまり残ってないしあと数回しか会えないだろうけどそれでも嬉しい。
「三国交渉でお忙しいはずなのに・・・やはり・・・うふふっ」
(やはり・・・何ですか?気になるけどなんか聞きづらい・・・)
「そういえば姫様も当然使節団の歓迎式に参加されますよね?」
「あ・・・」
(使節団の歓迎式?)
「えっと・・・参加しないとダメなんですか?」
「もちろんです!姫様がどんなお方か気になると皆さん・・・・・・!あ・・・」
(注目されるの苦手だし行かない方がいいかも・・・)
「えっと・・・ルボブニからも使節が来るとお聞きしました。他国の使節は神殿に入れないので姫様が歓迎式に参加されないことには・・・」
「ハッ!じゃあ参加した方が良さそうですね陛下からはまだ何も聞いてないけど・・・」
「はいっ!それと社交界を負担に思う必要はございませんわ皆さん姫様にとても好意的ですので」
社交界では
『陛下がルボブニから本名を連れて来たんですって!』
『どんな方であれあの蛇のような女よりはマシだから私は賛成ですわ!』と話していた。
「それにきっと陛下が守ってくださるはずなのでエルラド嬢も姫様に危害を加えられないでしょう。私も主人と参加するのでよろしかったら姫様のそばにいますわ」
「そうしてもらえたらありがたいですけど・・・えっと・・・ク・・・ラリス・・・」
「はい姫様」
「なんでこんなに優しくしてくれるんですか?」ともじもじしながら尋ねた。
「!」
「初めて会った時から親切に接してくださったから・・・あっでも負担に感じてるってわけではないです・・・一応人質として連れて来られたわけだしどうせもうすぐルボブニに帰るのに——」
ビクッ
「ルボブニにお帰りになるのですか?」
「はい使節団と一緒に帰る予定です」
「あ・・・どうしてこんなに急に・・・」
「ちょっと事情があって・・・」
「陛下がお許しになったのですか?」
「はい多分・・・?」
「では本当にあまり時間が残っていませんね。なんだか寂しいです姫様ともう少し親しくなれると期待していたのですが・・・
実は遠くから拝見した時から親しくなりたいと思っていました。とても可愛らしくて・・・ベルゴットの令嬢たちとは全く違った雰囲気をお持ちなので・・・
ベルゴットは何と言いますか・・・礼儀作法を過度に重んじる雰囲気があります。もちろん帝国の貴族としての威厳を保つ必要はありますがあまりにも堅苦しく隙がなくて・・・正直 息苦しいと感じる時もあります」
「あ・・・」
そういえばエウレディアンも似たようなことを言ってた
「ルボブニはベルゴットよりも自由で開放的な雰囲気だとお聞きしました。きっと姫様のような国なのでしょうね」
「あっそれはルボブニが小さい国だから・・・」
考えてみたら原作でも自由な国ってイメージはあったかも。王家の血を引く公爵家の一人娘が護衛騎士と結ばれちゃうくらいだからね。
「ベルゴットに比べたら確かにそうかも知れません」
「やっぱり!実は私が姫様に好感を持ったポイントでもあります。恐らく陛下もそういう姫様の魅力に魅かれたのでしょう」
「ひ・・・魅かれた?」
エレニカが赤くなる。
(他の人の口から聞いたからかものすごく恥ずかしい!)
「・・・多分不思議なんだと思います。ワガママばかり言ってるのに優しくしてくださるところからすると・・・」
「あら~陛下が優しくしてくださるんですか?実はかなり昔からエルラド嬢が陛下にアプローチしてまして・・・このままでは本当に陛下が彼女を受け入れてしまわれるのではと思うくらい・・・」
「・・・エルラド嬢がかなり積極的だったみたいですね」
「はい・・・あの方に意地悪された令嬢が数え切れないほどいます」
(さすが・・・社交界でもお構いなしだったみたいね。むしろ清々しいくらいだ。正直次会ったら殺されるかも知れない・・・・・・本当に恐ろしい女だ。
でもその分エウレディアンと結婚したい気持ちが強いってことかな?)
まあ目的は神聖力を手に入れることだろうけど・・・
(・・・あれ?ちょっと待って)
人間の身体でユーデタに届いても意味ないんじゃないのかな?どうせ認知すらできない力を手に入れてどうするの?
むしろ暗黒の魔法士を抑圧しているベルゴット体制を変えちゃうとか暗黒の魔法が排斥されないように手を打った方が現実的なんじゃ・・・?
(やっぱり分からない・・・)
「誰かに弱点でも握られたのかな?」とぼそっと言う。
「え?」
「あっいや・・・何でもないです」
******
(一体どうして?)
【エルラド回想】
エウレディアン『なぜそのようなことを・・・?目的は何だ?』
私の目的はあなたの身体に宿っている神聖力を手に入れること。
私が手にすることができないのなら・・・あなたとの間で産まれた子どもを通してでも手に入れないといけないからよ。
あの日も雨が降っていた。
目を閉じると今でも鮮明に浮かんでくる・・・
邪悪な存在を燃やし洗い流す浄化式
『くまなく探せ!』
『はっ!団長!』
『一つも残さず浄化するんだ!!』
光の中でも鮮明な銀色の炎に飲み込まれていく家族と仲間たち・・・
私の一族が滅びたあの日・・・
第57話 感想
次はエルラドの過去が明かされそうですね。