第10話 ネタバレ
ヴァレンティノ卿がエリアスに与える躾のレベルが懸念されると報告を受けたシュリーはエリアスから話を聞くために屋敷中を探す。使用人から裏庭で見たと聞き行ってみると、ジェレミーとエリアスがいた。
シュリーがエリアスを呼ぶと「ち・・・近付くな!」と叫びエリアスが逃げてしまった。
(エリアス・・・どうして・・・)
「どうして逃げるのよ!?止まりなさい!!」
「そんなこと言われて止まる馬鹿がいるかよ!!」
全速力で逃げるエリアスを追いかけるシュリーとジェレミー。シュリーは息切れも辛いけど・・・何より服が重たすぎる・・・!!と思った。
「そんな短足で俺に追い付けると——」
よそ見しながら走るエリアスは途中で盛大にこけた。驚くシュリーだったが、おかげでエリアスを捕まえることができた。
「こ・・・こけてさえいなければ・・・」
「そんなことを言っている場合じゃないでしょ!?」
「・・・ジェレミーあなたも知っていただなんて・・・どうしてすぐ私に教えてくれなかったの?」
「・・・それはこいつが
お前にだけは絶対に話すなと言われたんだ」
傷ついたエリアスの手を見てシュリーは辛くなる。「ダメじゃないエリアス何があっても私には・・・」と言いエリアスの手に触れる。
【ヴァレンティノ卿との訓練での出来事】
「おい~エリアス!お前ってホンットーに!何にもできねーんだなぁ!?ん?何だよその顔は?
悔しかったらママんとこに行って言い付けろよ!!でもお前に剣術を教えてくれって俺に頼んできたのはあいつなんだぜ?」
剣を落とし手を痛めるエリアスにニヤニヤ笑ってヴァレンティノ卿は言う。
「ヨハン兄貴も死んだし家門を管理する力もないし
その上 毎日毎日お前らみたいな悪ガキの尻ぬぐいをさせられてたらきっと耐えきれなくて逃げちまうだろうな」
ヴァレンティノ卿の発言により両親が死んだ日を思い出すエリアス。
俺にはもう誰もいないのに行かないで
シュリーが出ていく姿を想像してエリアスは言えない・・・あいつにはと思う。
「す・・・好きでここにいるわけでもないのに・・・俺たちが悪ガキで意気地なしで迷惑ばかりかけるから・・・お・・・お前もどこかに行っちゃうんだろ・・・!父様と母様みたいに消えちゃうんだろ・・・!
目を潤ませ涙をこぼすエリアスに驚く二人。今・・・何が起こったの?とシュリーは唖然とする。
(私が知っているエリアスは・・・ううん私が知っている子供たち全員が私を憎んで嫌っていてこの家の一員として認めてくれていないんだと思っていた
どうして今さら?)
「だから僕が何とかしてやるって言った時に素直に聞いてればよかったんだよ!」
考え込むシュリーだったが2人の争う声にハッと意識が戻る。
「何だよ!兄貴だってどうすればいいか困ってたくせに!」
「それはお前が意地を張ってたせいだろ!この臆病者!」
「臆病じゃない」
ううん今になって変わったんじゃなくて今だからこそ見えるんだ前はこんな風に話をしたことはなかったし話をできるとも思っていなかった
私たちは皆・・・大切な人を失い胸を痛めている幼い子供に過ぎなかったから
「叔父様がそんなことを言ったのね?よく聞きなさい!あなたたちのこと
そりゃあもう自分勝手で生意気で!傍若無人な子たちだと思ってはいるけど!!たったの一度も意気地なしだとか煩わしいだなんて思ったことはないわ だから他人の言葉なんて気にする必要はないの!」
「それに・・・私はあなたたちを置いて去って行ったりしないわ遠い未来にはそうなってしまうかも知れないけど・・・少なくても今は違う」とシュリーは話す。
「そ・・・それじゃ逃げる気なんてないんだな!?やっぱりあれはただの噂だったんだな!」
「僕たちが大げさに騒いだだけじゃないか・・・」
「でもここまでその噂を信じていたってことは心当たりはあったわけね?」とささやかな反撃をするシュリー。
「もうこれ以上隠し事はしてないわね?」
コソコソと逃げようとするエリアスの肩を掴むジェレミーとシュリー。シュリーはエリアスの胸ぐらを掴み「エリアス」と大声で詰問する。
「お・・・俺だって頼まれたんだ!お前には言うなって・・・」
「お嬢様!!」
「授業に行かないと私たちがお叱りを受けてしまいます・・・!」
「早く手をお放しください!」
手すりにつかまり「嫌ぁ~行かない!!」と叫ぶレイチェルを引き離そうとするメイド達がいた。
「あの魔女みたいなばあさんとレイチェルのことだよ」
第10話 感想
エリアスの涙にはびっくりですね。以外に涙がもろいタイプなのかな?シュリーの精神年齢が上だから昔と違って見えるものがあるみたいです。